Date 2006 ・ 08 ・ 30

比呂がシメられた。

昨日は、比呂と2人で、遊園地に行って遊んだ。
男2人で遊園地に行ったのは、そこでバイトしてる坂口を覗き見する目的だったんだけど。

昨夜眠くなっちゃったから、今日、日記に書こうと思ったのに、それどころじゃあ、なくなっちゃったよ。
夏休み明け早々、比呂が先輩にボコられて、俺は生きた心地がしなかったー・・。

前に俺、空手部の先輩に、髪の毛の事でいちゃもんつけられて
その時比呂が、助けてくれたんだけど、どうやらその報復だったらしい。
空手部は、夏休み中に三年が部活引退になってそれで比呂をシメにきたみたいなんだ。

卑怯だよ。大人数で。

比呂の右手が特に派手にやられてて、俺が送ってこうかと思ったんだけど
怪我酷くて子供の喧嘩じゃ済ませられないっていう先生の判断で、
向こうの親と比呂んちおじちゃんが呼ばれたから、比呂はおじちゃんと帰った。
親同士の話し合いの間、部活に行った麦や浅井のかわりに俺が
比呂に付き添って、びーびーずっと泣いていたんだ。

ほっぺにガーゼの比呂。右手には包帯。ひじから下が、結構腫れてる。
大好きな比呂が痛い思いして、それは結局俺が原因で
すげえ悲しくて苦しくなった。

比呂はしばらく黙ってたけど、そのうち体をゆっくり起こして
『あー…泣くな泣くな・・・・。』そういって、俺の顔を覗き込んできたんだ。

長いまつげ。目のとこもぶん殴られたのかな。赤くなってる。
痛いんだろうな。でもなんか、ちょっと化粧みたくて、比呂がきれいに見えた。

俺は比呂の髪を撫でる。そしたら比呂も俺の髪を撫でる。
俺は目をそらす。だって見てられねえもん。

比呂は話す。

『お前さ、もしこの喧嘩が自分のせいだとか思ってんなら、ほんとやめて?
次は絶対負けないし。な?だから泣くなよ。』

喧嘩じゃないじゃん。リンチじゃん。それに勝ち負けとかで泣いてるんじゃないよっ・・。もー・・。
今回のことはともかく、比呂はどうしてそんなに喧嘩っぱやいの?
もうやめてほしい。比呂が痛い思いするのヤダ。大事なんだよ。大事なんだよっ!!!

『もう喧嘩なんかやめてよ。』
『・・・・?』
『お前は喧嘩しすぎだよ・・。何で人のことでそんなに、喧嘩ばっかしてんの?ばかだよ。』
『・・・・・・。』
『約束しろよ。絶対喧嘩しねえって。ねえ、約束してよ。ねえ。』

俺がそういうと比呂がね、顔を俺に近づけて、小さな声で言ったんだ。

『ムリだろ。約束なんかしない。』

比呂の顔がすっとはなれる。俺の頭を撫でていた手が離れる。その後会話が続かなかった。

少しして、話し合いを終えた大人たちが保健室にやってきた。
大人たちのお詫び合戦を見ながら比呂はおじさんの手をつんつんとし、
『ごめん・・なんか・・。』といっていた。おじさんは笑って首を横に振っていたけど。

比呂の自転車をおじちゃんの四駆の屋根にのせるのを手伝って、俺はその後部活に合流した。
麦や浅井が『比呂、どうだった?』というから『帰ったよ。』とだけいい、俺は部室にはいっていった。

なんで?なんで『約束しない』なんていうんだ。
なんで人を困らせるようなこと言うんだ。
比呂の言いたいことがわからない。あいつは何が言いたいんだろう





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