2007/5/8 (Tue.) 23:31:22

俺と比呂と小沢君とユッキーで、けらけら笑いながら廊下を歩いていたら
電子科の奴らがちょうど移動で、実習服着て歩いていた。
教室が離れてる上に、サッカー部が一人もいないから
個人的に知り合いはいないんで、ヘラヘラ笑って通り過ぎる。
全員とすれ違った後、ふと気がつくと比呂がいない。
あれ?と思って振り向いたら。電子科の一人と言い争いをしていた。

急いで小沢くんと一緒に、比呂のとこまで駆け寄る。
ユッキーが、真っ青な顔をして、なんもいえないような状態で。

あまりにいきなりだから俺、なーんも心の準備できてなくて
で、比呂に『どしたの?』って聞いたら、電子科の奴が比呂に言ったんだ。

『馬鹿じゃね?うるせーんだよ。お前いつも。』
『・・・・。』

比呂は、黙ってそいつの話を聞いている。俺は比呂をけなされたから超むかついた。
小沢くんはユッキーの腕を擦っている。

すると電子科のそいつが、ユッキーの方をみて
『こっちがPTSDになるっつーんだよ!ばーか。』って言ったんだ。
俺、マジびっくりして、なんのこっちゃー!とか思って、その場にたちつくしてしまって

そしたら比呂がそいつの事、ぶん殴って喧嘩が始まった。

ユッキーはなんか言おうとしてるんだけど、震えて声が出ていない。
俺は『まあまあ、おちついてー。』とかいって、喧嘩してる2人の間に入ろうとしたけど、
『どけっ 』って比呂に突き飛ばされた。

廊下に倒れこんだ俺のとこに、ユッキーが駆け寄ってくる。
小沢君が比呂を全力でとめたんだけど、・・比呂をとめることなんかできなくてさ。

比呂は素手だったんだけど、相手の奴は実習に使う計算機とか持ってたみたくて
それで思い切り比呂の顔をぶんなぐったらしく、比呂は目の下から血を流していた。

俺、大声で近くの教室にいるだろうヒノエちゃんを呼んだ。

『はいは〜い』と、のんきに出てきたヒノエちゃんが、状況見て腰抜かすほど驚き、
先生を呼びに走っていってくれたんだけど、比呂がもうなんか、キれてるっていうか、
相手を殺しそうな勢いで、相手の奴も必死で相手してるから、
もうあっちこっちがめちゃくちゃになって・・4組のドアのガラスは割れるし、
割れたガラスで比呂の手が切れるし・・
そんな破片だらけの手で比呂が、相手を殴ろうとした時、
誰かが右手を相手の奴の目の前に差し出したんだ。


そしたら比呂の手が止まった。比呂を止めたのは、佐伯だった。

比呂が、はあはあいいながら、握ってたこぶしを、だらんと落とす。
相手の奴はその場に座り込んで、ガタガタと震えだしている。

佐伯は比呂の頭をパシンとはたいて、
それで、比呂の手についたガラスを手で払おうとしていた。

そしたら比呂がすっと腕を引き下げる。

『・・・怪我したらどうすんだよ・・。』といい、後ずさりして
教室の壁にぶつかった途端に、ずるずると比呂も座り込んでしまった。

*******

先生が来て、比呂と電子科のやつは保健室に連れて行かれた。
『坂口、お前ら班で掃除してくれる?』と岸ちゃんにいわれたんで
俺は班の奴らを集めて、あたりを綺麗に掃除した。

・・・学年で一番目立つ奴が、派手な喧嘩をしたわけだから
スグに学校中に噂が広まる。

次の休み時間に比呂が教室に戻ってきたんだけど
そのまま黙って荷物をまとめて、教室から出て行ってしまった。

ユッキーが泣きながらあとを追いかける。
その後についていった小沢君も泣いてる。
俺も、どうしていいのかわかんないけど、とりあえず小沢君の後つつづいた。
廊下ではすでに、ユッキーが比呂に抱きついて泣いてた。


『・・・なんで泣いてんのー?じゅんやまでー。』
比呂が疲れたような顔で笑う。
『どこいくの?授業はまだあるよ。』
振り返ったら佐伯がでてきていた。

『あいつの親と、俺んちおじちゃんが・・呼ばれたんだ。今から、みんなで話しするって。』
比呂が言う。そしたら佐伯が
『話し終わったら戻ってくるだろ?なんで荷物もってくの。』
って比呂に聞いた。


比呂は、なんもないようなあっけらかんとした顔でこういった。

『停学とけるまで、教室はいれねーから。』

あまりに予想外の展開で俺等はみんな、言葉を失う。

比呂は小沢君のあたまを、ぽんポンッと優しくたたくと、
ユッキーを体から引き剥がし、だまって廊下を歩いていってしまった。


追いかける気力もない。
っていうか、停学とか・・・信じらんないし。


だけど、帰りのHRで、先生が
『紺野、喧嘩で停学になったから。』
って、教えてくれて。


心が粉々になった気分だ。ケンカ思い出して体が震えてくる。

比呂が停学なんてそんな・・・。
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