年上みたい。

今日は1時間だけバイトだとかいうから
俺も8時に塾が終わるんで、カフェで待ち合わせてご飯一緒に食べた。
俺の方が30分くらい早く店に着いたんだけど
結構な人気店なんで、ソッコー入って席とっといた。

そしたらー・・俺のとった席の隣が、挙式間近的なカップルでー・・
結婚式の話をしながら、いちゃいちゃしててすげえブルーになる。

あんたたちは・・いいよね。
たまたま男と女だったから、気持ちがたとえ適当でも
その場のテンションで簡単に結婚できちゃうんだもんね・・。

悲しくなって、比呂に電話したら、まだバイト終わんない時間だから
当然電話にはでれない。
悲しくて電話切ったあと、ぼんやりと過去を振り返った。

初めて会った日の事。
比呂がビーサンはいて学校来ちゃった日のこと・・
それからなんだっけ・・・

そんな風に、思い出したら、きりがなくて
思い出に心つつかれて泣きたくなったり
すっげーなんかじんわりしみる比呂の言葉が
俺をぎゅーっとしてくれてるような感覚になって
そしたら電話が鳴ったんだ。相手は比呂。俺はすぐにでる。

『那央?俺。電話くれた?』

うん。したした。まだバイトおわんないの?!とか、文句言いそうな勢いでね。
でも、あの時比呂がでなくてセーフだったよ。俺、間違えないでよかった〜・・・。


『したよ。声が聞きたかったから。』
『えー・・。うっそ。なにー?』
『仕事どう?終わった?』
『うん。終わった。すぐに行くよ。』
『わかった。でも気をつけてきてよ。急がないでいいから。』
『・・ありがとー。じゃ、まってて。』
『うん。』
『じゃーねー。』
『まってるねー。』


親指でピッて電話を切る。
比呂との会話はそこで完全に途切れる。
その瞬間から俺は、今から俺に向かってくる比呂を待つことになり
その瞬間から比呂は、俺に会うためだけにここに向かってくる。

前に比呂が俺に言ってくれた言葉を思い出す。

『どっちかが動けば必ず会える。』

目をギュッと閉じて胸の中で反芻する。

しばらくして、比呂がカフェの入り口から入ってくる。
急いで来てくれたみたいで、ほんのちょっとだけ、はあはあしてた。

『立ちこぎしてんのニ季にみられた・・』

すっごい照れくさそうに笑うんだよ。俺の前で比呂が。


店員さんがメニューとりにきて、飯を注文してる時、また俺の耳に
隣の結婚間近カップルの話し声がきこえてきた。
不思議と嫌な気分にはならなかった。
あの人たちも幸せになれたらいいなとおもった。

俺たちは、幸せになれる。だって、比呂と2人で作る未来だ。
不幸になるはずなんかない。
いつもの癖でパフェとかを一つ頼んでくれる比呂の横顔と
相変わらずのんびりとした口調を聞いてたら
俺は顔が勝手に笑い出して、幸せな気分を隠しきれなかったんだ!

2008/09/06(土) 00:07:47
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