超うけるんだけど!

5時にバイトあがって、走って待ち合わせのサニマに行ったら

比呂と坂口がレジうちやってた(爆笑)



バイトの子が急に3時間遅刻することになったらしく・・・・。
比呂は一年のとき、一時コンビニ手伝ったことあってレジわかってるんだよね。
ゆらも一応レジうちのあるバイトをやってるから、金の受け渡しとかは得意で
2人で一人みたいなノリで、頑張って労働してましたよ。

だから俺、うまい棒とか買い捲って、比呂に渾身のキュートな嫌がらせしてあげた。
コンビニのレジって、なんか独特じゃね?俺も前に少しだけやったことあるけど
客の年齢層調査みたいなのがあってさ、見た目で年判断するの、すげえ無理だったから。

6時になって遅れてきた子と店長さんが入ってくれてさ
おぎやんもバイト上がりだったから、4人で飯食い行くことにして
この4人の組み合わせって、微妙に貴重ってことでさ、カラオケ行くことにしたんだ。

時間帯がよかったのか、俺らが行った時はすんなり入れて
3時間で予約して、飯も頼んで、色々話した。
せっかくカラオケだから、歌おうよってことになって
その部屋、ギター(アコギ)があったから、比呂がギターもって
エルレとかバンプとか歌いまくってくれた。
ちなみに俺は音痴で、ゆらはリズム感がない。
おぎやんは、上手だけどあまり歌わない。
みんな比呂のうたが聴きたいんだよ。盛り上げるのすごいうまいしね。

麦がいないから、いつもマイクを奪い合って歌ってるバンプのメロディーフラッグを
ギター弾きながらカラオケにあわせて一人で歌う比呂。
多分バンプのなんかのDVDを真似して歌ってるんだと思う。
声は全然違うけど、雰囲気がすげえ藤原君に似てた。

つかあの曲ってほんといい歌だねー。バンプの曲で一番最初に好きになった曲だったっけ。
そしたらね、ゆらもどうやらね、バンプ好きらしくって、メロディーフラッグを口ずさんでた。
『好きなの?』って俺が聞いたら、一瞬黙った後ゆらが、ふっとわらって『大好きだよ』といった。

みんなにリクエストされて、それに全部こたえてやってる比呂の声が
いい具合に枯れてきて、俺は昨夜の甘い時間を思い出す。
席について、ピザ一口食ったら、おぎやんが勝手に曲入れてさ
エルレの『Pizza Man』がかかっちゃって、比呂食ってる暇ねえの。
だってその曲、比呂の超大好きな歌だから。
実習の授業のときとか、配線作業しながら口ずさんだり、
掃除の時とかも、前に口ずさんでたの聞いたことある。
エルレの曲は、今日は真似とかしないで普通に歌ってたけど
似てるんだよね、もともとあの子は、細美くんに声が似てるんだ。
(歌声は比呂の方が、もっとかすれてるんだけど)

その後に、ゆらがさ、カツン歌いたいとか言い出してリアルフェイスを入れたんだけど
この曲6人じゃないと歌えない・・

比呂がさ・・うまいんだよ。赤西くんの真似。ビデオそっくりなの。
で、ゆらは亀なし君のパートを最近歌うんだけど
踊りまで真似しないといけなくて俺とおぎやん・・ついていけない・・・・。
4人で無理気味フォーメーションで、あげあげ気味に歌ってたら
追加注文した茹で落花生と、から揚げ(二皿目)を運んできた店員に
思いっきりみられて、死ぬかと思った。

めちゃくちゃかわいい女店員だったし・・・・・。

その後は、しばらくゆで落花生食って歓談の時間・・。

比呂は疲れちゃったのか、ぬれたお絞りを目にのせてソファーにもたれてる。
ゆらと、おぎやんが便所にいって、2人きりになったから
『大丈夫?』ってきいたら、お絞り乗せたまま比呂が、ふふっと笑うんだ。

『やべえ・・顔が勝手に笑う。』
『なんで?なんかおもしろいことあったの?』
『ちがう。思い出し笑い。』
『え?』
『つか、なんかにやけちゃう。』
『なになに、なんでー?』

そしたら比呂がお絞りをとって、俺を見て、そんでまたお絞りを目の上に乗せる。

『俺昨夜、興奮しちゃって、なかなか寝付けなかったんだけどー。』
思わず真っ赤になる俺。そしたら坂口たちが帰ってきた。
『比呂、疲れたかー?レジ大変だったろ?』
おぎやんが比呂の隣に座る。
『ちがうちがう。歌いすぎて疲れた。なんかうたって。ジュビリーとか。』
『じゅび・・?』
『くるりのだよ。』
『比呂が歌えよ。』
『あー駄目。俺あの曲。なんか歌うと泣けてきちゃうの。』
『なんで?そんな歌詞だったっけ?』
『やー。わかんねーけど、悲しくなってきちゃうんだよねー。』
『じゃあ、飛ばせよハイウェイ。』
『おう、飛ばすかハイウェイ。』

くそ。くるりは、俺まだ半分しかわかってない。
・・比呂がうたわされた『ハイウェイ 』って曲はやっぱくるりで
この曲は、前に比呂の部屋で聴いた時、いいなと思ったから覚えてた。
そんな話しながら俺は比呂に借りたまま・・まだ聴いてない
ピロウズのCD何枚かの事を、ぼんやり思い浮かべていた。

音楽ってなんなんだろう。中学の頃の俺は、あの劣悪な環境の中で
それを一切必要としてなかった・・。
というか、今ほど音楽を、大事なものとして位置づけてなかった。
なんでだろう・・・。
比呂は、やはり最悪な家庭環境で育ってきた子なんだけど、
比呂は音楽をよりどころにした。

俺と比呂の、その違いがどこから生まれたのか。
やっぱ俺と比呂は、全然別物の人間なんだなって寂しくなった。

カラオケ後半は、おぎやんがやっとあがってきて
エルレとかシロップとか・・なんだっけ・・あの人ら・・思い出せねえけど
色々歌ってて、気になった曲があるたびに、比呂に『いい曲だね』っていうと
『持ってるよ、今度貸そうか? 』って言ってくれんの。
俺の欲しいものは全部持ってる比呂。

一瞬、底に落ちかけたとはいえ、這い上がれたから、まあ未遂か。
すげえ楽しい三時間だった。

二人と別れて俺と比呂は、比呂の家で少し休むことにした。
といっても、エッチしたいとかじゃなくて、ただ普通にいちゃいちゃしたかっただけ。
比呂がCDを探してくれてる間、俺は比呂のベッドの上に寝転んでぼんやりしていた。
ぼんやりついでに、比呂に聞く。

『比呂ー・・。』
『・・・んー?』
『比呂って小さい頃からー・・こういうバンド系を聴いてたのー?』
『あー・・うん。おっくんの車の中でとか、遺品でCD沢山あって。』
『そうなんだ・・・。』
『ああ・・。』

探し物に気をとられてるのか、比呂は色々と話してくれた。
『家に・・一人でいるとさ・・怖いの。家って意味なく軋んだりするじゃん。
夜に大人が誰もいなくてさ、一人でいるのとかザラでさ・・・。
玄関に鍵閉めに行くのも怖くてさ・・いつ泥棒が入ってくるかって
怖くて寝れなくてさ・・・で、うたとかを聞いて安心して寝たりしてたんだよ。』
『安心?』
『ああ。大人の声がね、うれしくて・・。声だけでも、なんか大人なわけじゃん。
声が好きでさ・・。きっかけはそんな感じで。』
『・・・歌詞に共感して・・とかそういうので、安心してとかじゃねえの?』

比呂がははっとわらって、俺の方を振り返って言った。

『わかるかよ、そんな5歳かそこらの俺が。言葉の意味すらしらねえのに。』

俺は比呂から三枚のCDを借りた。グレープバインの聴いたことないやつと
トライセラと、ちゃんと聴いてみたくなってハイスタ。
ホルモンとハワイアン何ちゃらも、聴いてないやつあったから
借りたかったんだけど、小島だかに貸してるんだって。
ならしょうがない。

CD借りたら用事なくなっちゃって、俺は家に帰ることにする。
一回だけ、甘いキスをした。ぎゅってしあった。
昨日の記憶が俺の心の奥を、突き動かす。

『送るよ。』って言われたけど、『ううん、今日は一人で帰る。』っていう。
『大丈夫?』って聞かれたから、『比呂こそ大丈夫?』って比呂に言った。

『は?俺?なにが?』
『一人で留守番・・・。』
『ははっ。大丈夫だよ。全然平気。』
『・・・怖くない?平気?』

比呂は、さっき俺が妙なことばかり聞いてたことを思い出したんだろう。
優しい顔で、ふっとわらうと言ってくれた。

『怖くなったら電話する。お前に。』

嬉しくなった俺は、鼻歌歌いながら自転車漕いで、スイスイ帰り道を急いだんだけど
途中で酔っ払いみたいのに絡まれちゃって、結局比呂に電話して
直ぐにチャリで駆けつけてくれた比呂が、おっさんなだめてくれて
なじみの警察の人呼んでくれて、おっさんは最寄の交番に
俺は比呂に家までおくっていってもらった。

その後、玄関先で比呂は俺の兄ちゃんに捕まって
エロビデオの事で15分も立ち話。
てめえ、高校生相手に、どんだけディープな話してんだよ
あほ央人。はげろ。

だから俺、比呂が帰ってすぐに兄ちゃんを説教してやったよ。


いい加減、AV卒業しろ!ってね(真顔







2007/12/01(土) 23:38:33
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