ごはん


ご飯食べにいった。比呂と2人で。
部活終わってから、バイトまでの2時間弱を、俺のために割いてくれた比呂。

ここ数日、なんか俺、すごい情緒不安定で、
比呂を好きすぎて、その反動で別れたい衝動みたいのにかられちゃって
別れ話みたいなことをいっちゃったの。

『俺、比呂に依存しすぎてて、このままじゃ一人でいきてけないから、わかれよう。』
『・・・・・。 』
『俺って重たいでしょ?捨ててくれれば、俺きっとあきらめられるのに。』
『・・・・・・。』

外掃除から帰ったばっかで、歯をガチガチ言わせて凍えてる比呂に
俺はそんなことをいっちゃったのね。坂口がいる前で。

比呂は、黙って考えた後、『・・じゃあ、部活の後、話しよう。』っていった。
坂口が俺のことを、睨んでた。

部活の後、麦となにやら話をしてた比呂を部室で待つ。
3分くらい遅れてきた比呂は、『わり。』と謝ると急いで着替えを済ませてくれた。
外に出たら、さむくって、比呂が一回『くしゅんっ』とくしゃみをした。
『風邪?』って俺が言ったら、ふふっと笑って、それだけだった。

白いごはんが食べたいって言うから、和食の店に2人ではいった。
俺は家族できたことがあるけど、比呂は初めてだったみたい。
個室ばかりの店だから、これでゆっくり話が出来る。

俺は、寒ブリの照り焼き定食にして、比呂は紀州梅の雑炊定食にした。
・・・・雑炊って・・・食欲ないのかな。俺はだんだん心配になる。

『・・・・やっぱ、風邪じゃないの?』『・・・・・・。』
『比呂ちゃん・・・・。』『・・・・・・。』
『・・・・・・。』『・・・・・・。』
『さっきの嘘。ごめんね。』『・・・いいよ。』

お互い、顔を見合わせて笑う。
さっきの別れ話について、ちゃんともう一度謝ろうと思ったけどなんとなく・・やめた。
俺、なんでこんなに、落ち着いてるんだ?
笑った後、比呂がふーって溜息をついた。目が少し、トロン・・としている。

『外掃除、寒かった?』
『うん。』
『ごめん。そんなときに俺、酷いこといって。』
『・・・・いいよ、別に。』
目が合って、また笑う。



ごはんがきた。

比呂の雑炊は、すごくおいしそうだった。眠そうな顔でごはん食べる比呂。
『眠いの?』俺はブリを口に頬張りながら比呂を見る。
『うん・・。眠い。やばい。バイト。』ほっぺがちょとあかいなあ。

やばい〜・・とかいいながら、ごはんを食べる比呂をみると
俺、なんだか、すっごく心が温かくなった。
俺は、そんな比呂を見て幸せになったあと寒ブリをまた口にぱくりと入れた。

『俺は・・・。』
俺が飯に集中し始めたた時、比呂がご飯を食べながら
話をしはじめた。雑炊を食べながら、俺なんか見ずに。

『大好きなものは捨てられない。
重たいものなら、大事に抱えてずっと持ってく。
お前が俺を好きでいてくれるうちは
ずっとお前と一緒にいる。
俺に依存してくれて、離れられないなんて
普通に俺は、嬉しいだけだし・・・
別れたくないから、別れない。』

箸を持ったまま固まってる俺を、比呂は見た。そんでわらった。
雑炊を蓮華でぐるんとかき混ぜる。


『・・・俺が言いたいのは・・そんだけ。』


つま先から、つむじまで。総動員で、比呂の言葉を記憶。
俺の目の前の黄色いたくあんの色がさっきより全然綺麗に見える。
お茶の緑色も、すごく透明な緑。
俺は、ひたすら顔が笑って、視界に比呂の定食がはいりこむ。
比呂の定食のつけものは、ピンク色の漬物だ。



・・・・わ。俺色。




2008/01/18(金) 23:50:43
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