2006/4/30 (Sun.) 23:21:47
比呂と昼飯を食いに行って そのときの比呂がすげえキュートで、
いつも以上に無邪気だったから うっかりしてたら、なんか俺・・・・
俺を乗せて長い坂道を 立ちこぎで登りきった比呂の背中のあの広さ・・・
意識してしまった・・『幸村?』って呼ぶ声・・・まさかそんな・・そんな・・・
俺がどんな顔をしていたのかはわからないけれど、比呂が俺のことを見て顔をしかめる。
『顔赤い。熱があるんじゃね?』と言われて、『大丈夫だよ。』ってこたえたけれど、その声が震えた。
比呂を見たら俺のことを見てた。『ぶりかえしたかな。』・・・なにが?・・ああ、風邪のことか。
『大丈夫だよ。ちょっとときめいただけ!』俺がウィンクでごまかすと、ふふってわらってそっぽ向く比呂。
のんきそうな顔してんじゃねえよ・・・。どうすんだよ。なんか俺、お前を好きになっちゃったみたいだよ。
比呂は自転車をカラカラと押して『どうする?帰る?もっと遊ぶ?』という。俺は黙るしかない。
一緒にいたいけど、今の俺は動揺のせいかまともに歩けない。
『乗れ。幸村。』チャリにまたがって、比呂があごで自転車の後ろをさす。
『やっぱお前おかしい。家まで送る。』
俺は黙ってチャリのケツにまたがった。
『プリンがでかすぎたかなー。『・・・。』
『どうしたかなー。風邪かなあー。』『・・・・。』
『おかしいなー。なんかあったのかなあ。』『・・・・。』
そんな屈託なく俺に話しかけるなよ・・。全部それが俺の心を刺激してくるんだよ。
後二分もすれば、家に着く。どうする・・。このままじゃ比呂が帰っちゃう。
やばい。帰らないでほしい。このままでいたい。比呂といたい。
『比呂っ!!』俺は声を上げた。いきなり叫んだから比呂が、『うっ?』っといって、露骨におどろいた。
『なんだよ!びっくりすんだろが!』
『駄目だ!今は帰れない!』
『なんで!』
『兄ちゃんが女連れ込んでヤってるとおもうから。』
比呂の『なにそれー。』の『な』のあたりで、すでに俺らの視界には幸村家。
比呂はそのまま、猛だっしゅで俺の家を通り過ぎてくれた。
『どどどどどどどうすんの!』『・・。』
『お前帰れないじゃん。』『・・・。』
『俺んちくる?』『・・・でも。』
『あほか!熱あるのに。俺んちベッドでちょっと寝てろ!』『?!!!』
熱があるからってお前・・・俺はお前におネツなんだとおもうんだけど・・。
そんなの比呂が気づくはずない。結局俺は比呂の部屋で夜まですごした。
俺はベッドに寝かされて、比呂がそのそばで話しをしてくれた。何の話かと言うと、比呂のバイト先の人の話だ。
オーナーのオカマの人の武勇伝や、店長の秋山という人の恋愛論や、それがおかしくて笑っていたら、
不思議とときめきハートは落ち着いていった。
なんだ。俺の勘違いだったか。ほっとしていたら、母ちゃんからメールが来ちゃって
『今日はおねえちゃんの彼氏が来るから、夕飯すき焼き。早く帰れ。』だって。
勘弁しろよ、俺の家族・・。
比呂が笑って俺のデコを触りながら『熱下がった。じゃ、おくる。』といった。
2人乗りの自転車。比呂の腰にぎゅっとつかまって、俺は自宅近くの公園まで送ってもらった。
『さすがに兄ちゃんも、もうおわってるだろう。』比呂はそういって、俺に笑いかけた。
そんな顔で笑うな。俺の大好きなその笑顔を今の俺に向けるな。
『ありがとね。昼飯、すげえうれしかった。』『うん。』・・・・最後の最後は結局そっけない。
『じゃあまたあした!お休み!』そういって、比呂は自転車をのんびりこぎながら、帰っていった。
・・・勘違いなわけないじゃないか。俺は自分の胸のあたりを、いつの間にか両腕で覆っていた。
比呂の背中で暖められたその部分を無意識に覆う。なんのために?そんなのわかってる。
比呂から移った体温を逃さないようにそうしてるんだ。
今まで比呂からかけてもらった優しい言葉が渦のように押し寄せる
笑顔・・・声・・背中・・・。
どうしよう・・俺
ほんとにあいつを好きになっちゃった・・。