2006.5.08 
ふう・・・


気になって眠れないから比呂に電話をした。
なにが気になっているのかというと、ここ数日のあいつの元気のなさだ。
だから電話した。ほんとに気になって眠れないし。
比呂は10コールくらいで電話に出た。


『・・・・・幸・・む・・ら?』
『うん。俺っ!俺!』
『・・・・な・・・に・・。』
『・・・・比呂・・・もしかして寝てた?』
『・・・・うん・・・。』
『わり。じゃ、いいわ。それじゃ。』

ブツっ。つー・・・つー・・・

やばい・・・寝てるの起こしちゃった・・・(どよーん・・


するとソッコーで電話が鳴る。

『・・・・・?』
『・・・・幸村?』
『さきほどはっ!!すみませんっ!!!』
『寝てた?うん。わり、じゃ。ガチャン・・・って、そんなきり方あるかーーっ!』
『ごめん〜!だって寝てるの起こしちゃって悪いなって思ったから〜。』
『思ったんなら喋れよなー。言うことあるからかけてきたんだろー。』
『そうだけどー・・。』

ヤバイ。実は特に用事ない。

ただなんとなく比呂の話が聞きたかっただけで・・でもそれ言ってこいつ傷つけたら嫌だし・・・・。
超長い沈黙が続いて、ますます話しにくくなる俺。
びびり過ぎるあまり、俺は無意識にその場正座してるし・・なにを話したらいいのやら・・。
時間はどんどんすぎてく。

沈黙を破ったのは比呂だった。

『・・ゆっきー・・。』
『え?なに?』
『寝るなら切れー。』
『寝ないよっ!』
『・・じゃあなんか喋ってよ。死んだかと思ってびびるだろー。』
『死なねえよ。つか、大丈夫なの?寝てたんだろ?眠いんだろ。』
『知らねえよ〜・・起こしたのお前だろ〜・・責任取れよ〜喋ってえ〜・・・。』

・・・・・きゅんときた。

『んとねー。』
『・・・。』
『や・・別にねー・・ただ、比呂・・起きてるかなーと思って。』
『・・うん。』
『電話しただけなんだー・・。』
『・・へー・・・・。』
『うん。でも寝てたな。ごめんなー。』
『いいよ、別に。っていうか、俺さーお前に聞きたいことあってさー。』
『・・・なに?』

正座解除。ベッドにごろんと寝転ぶ。寝起き比呂の声は、かすれてて甘い。

『あのね。お前さー・・塾行ってるじゃん・・。 』
『うん。』
『塾って毎日いってんの?』
『なんで?』
『だってなんか・・毎日行ってるような気がするんだけど。』
『どしてー?』
『今日は塾だからって・・毎日言われてる気がして』

・・なんだ。ははっ。そんなことか。
携帯もって天井見上げて、心がほわっと軽くなる。目を閉じる。

『先月は、色々と特別授業があってさ。選択授業もいっぱいとってたし。』
『・・・。』
『でもさ、今月からは週に3日だけだよ。最初のうちは曜日変動になるみたいなんだけど。』
『曜日変動? 』
『そうみたい。』
『ふーん・・・すごいね。塾って。』

子供みたいな相槌。俺はぼんやり比呂の顔を想像する。童顔っていうのかなー。
黒目がでっかいんだよねー。ぼけてたら、比呂が話をしだした。

『じゃあ・・・曜日とかちゃんと決まったら教えてよ。塾の日。』
『なんで?』
『俺、その日に合わせてバイトのシフト組むから。』
『なんで?!!』
『だって、ユッキーが塾以外の日にバイト入れちゃったら、俺ら遊べないじゃん。』
『・・・・え・・。』
『俺が年中一緒に遊ぶのってーお前と佐伯と浅井くらいだから。』
『・・・うん・・。』
『あいつらのバイトの日と、お前の塾の日考えながら、自分のバイト日決めるから。』
『・・・・・。』



返事ができない。だってものすごくうれしいもん。



『・・・すぐ寝るじゃん。』
『寝てない!。ちょっと考え事しただけ。』
『・・・・・・。』
『・・・・・・・。』
『まあ俺は寝るけど。じゃあね。おやすみ。』

ブツっ・・・つーつーつー・・・


・・・・・・・



おっ・・おまえー!!!!






とりあえず俺は電話を切る。


ま・・・でもいいか。うん。

こんな風に電話切れるんなら、きっといつもの比呂に戻ったんだ。
俺は電話抱きしめて眠る。そして比呂のことを思った。
そしたらちょっとしてメールが来て
『もう寝る。おやすみ』
だって。

だから俺もメールしたよ。
『うん。おやすみ。』
ってね。


電話してよかった。
おかげで今夜はぐっすり眠れる。
眠ったら夢で紺野と遊びたいな。

遊べたらいいな・・。おやすみ。



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