寝ぼけ気味の比呂を部屋に残して、断腸の思いで仕事に出かける俺。
駐車場で、ふと自分の部屋の窓を見たら、比呂がカーテンにじゃれながら、俺に笑顔で手をふってる。

あああああああああああああ。
こんな時にも仕事にでなければいかないのが、社会人というものなのか!!!
俺は両手をブンブンとふり、車を走らせ学校に向かった。

職員用の駐車場につくころには、なんとか仕事モードに切り替えることができた。
なんかいつもとは違う感じだなって思ったら、そうだ、昨夜比呂が座席ずらしたんだ。

職員室に向かって歩いていたら、生徒が俺を待っていた。
ノートを忘れてきたらしく、事前に断りを入れてきたのだ。
次から気をつけるように注意をして、今日はレポート用紙に記入をして、
自宅でノートに写すように伝えた。
授業時間になって、忘れ物を申告してきたやつは減点対象だけど、
朝の時点で俺に報告してきたやつは、1回目までは見逃すことにしている。

忘れ物ゼロは基本。徹底したい。

一時間目の授業が終わって、休み時間に比呂にメールをした。
次も授業が入っているから、電話で話す時間はない。

<おきた?ごはん、全部食べた?

それだけ送信して、次の授業の支度をする。
するとすぐに返信が来た。

<今、食べた。

・・・・・変な日本語・・。だがそこがいい!!!


結局電話は昼休みまで出来なかった。
ご飯をソッコーで食べて、とりあえず車に戻って電話をかける。
すると、もぐもぐしながら比呂が電話に出た。
お弁当、食べてくれてるんだって。

シャケの南蛮漬けが気に入ったらしくて、タコウィンナーは、切り方本人的に反省なんだって。
なんか『タコっぽくなくてごめんね。』っていわれた。
いいのにそんなの!かわいいよ!!(比呂もね★)

今日の夕飯何がいいか聞いたら、しょうが焼きと、味噌汁がいいって言われた。
シチューと悩む・・とかいうから、笑っちゃった。

会議終わったら連絡するねーというと、うんっていった。
『風呂くらいは洗ってもいい?』って言われたから、悪いなあ・・と思いつつ、頼んじゃった。
ほんとに、ゆっくりしてくれてていいのに・・。

放課後、テストの問題についての会議があって、終わったのは予定より早くて、19時ちょっとまわった頃だった。
比呂が待ってるから、早く帰れるのはうれしいなあって思って、急いで帰り支度をした。

比呂が来ている事は、一応、岸先生には伝えた。
岸先生、『紺野によろしく。また明日にでも話し聞かせて』って。
俺が急いでるのわかったんだ。おっとな〜!!
帰り支度の間、他の教科の先生たちが、岸先生に話しかけてきた。
テストのことだったから、俺もいかなきゃまずいかなって思ったんだけど、
岸先生が、みんなに聞こえる声で、『幸村先生、ほら。早くしないと間に合わないよ。』
って、わざわざ言ってくれて、俺が帰りやすいようにしてくれた。

職員室に残ってた先生たちに挨拶をして、俺は急いで駐車場にむかった。
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