ついこの間まで一緒だったのに、比呂が横浜に戻ってしまって、ほらね、もうどうしようもなく寂しい。
今日は比呂の誕生日なのに、・・・こっちにいてくれたとしたら、俺はきっと朝からウキウキで
ケーキの準備とか、夕飯なにしようとか、そんなんではしゃいでたと思うんだ。

プレゼントなにあげていいのかわんなくて、アマゾンのギフトカード渡したの。
比呂、喜んでくれてね、ゲームかプラモ買うっていってた。
俺は比呂が欲しがってる物、あまりわからなくて、愛情を注ぎこめるのは
やっぱり料理やコトバだから、誕生日に会えないってのが、とんでもなく苦しいことだったりする。
己の無力さに打ちのめされる感じで。

今日は、学年行事とか、テスト前とかっていう理由で、普通の授業はほぼなくて、
部活もないから生徒も早く帰っていったし、先生たちも早めに帰り支度をする。
本当は会議があるはずだったんだけど、学年主任の先生が風邪で休んだから延期になって

だから、俺も早く帰れるってことは、俺が向こうに行けば、比呂に会えるってことだ。

職員用の駐車場に向かう間、なんともいえない高揚感。行きさえすれば会える。
そんなの当たり前のことだ。だけど、今から向こうにいくとしたら、
たぶん、帰り・・最終の新幹線に間に合わないと思うんだよ。
でも絶対学校は休めない。だから明日の朝までに帰らなきゃいけない。
それを考えると、いくことを断念せざるを得ないんだ。

だけど・・・だけど・・

車のエンジンかけて、ハンドルに突っ伏す。
「駄目だ、あきらめよう。」わざわざ声に出して言った。
比呂の誕生日は大切。でも、明日の仕事を休むわけにはいかない。
電話でちゃんと話せばいいや。そう決めて車を走り出させた。

いつもの道順でいつものとおりに家に向かって車は走る。
その間、俺は運転しながらやっぱりまだ、比呂に会うことをあきらめ切れなくて
学校を出てから四度目の信号を右折せずにまっすぐ進んだ。

このまま比呂のとこにいけばいいんだ。車だったら、夜中でもかえってこれる。
曲がり道を俺はまっすぐ進んだ。それは、比呂のところに続く道。

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学校を出てから、三時間ちょっと。俺はコンビニに寄って飲み物を買う。やたら時間かかってしまった・・
でも、ようやく、何気に知ってる道に出ることができた。
あたりは暗くなっていて、人もあまり歩いていない。時々ウォーキングしてるひとや、

犬の散歩するひとを見かけた。

三時間分、確実に近づいてる。なんとか比呂の誕生日中につきたい。
おめでとうって言ったらすぐに、また帰らないといけないから、
会えたらぎゅうっと抱きしめてもらいたい。
それ妄想したら、また元気復活した。

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学校を出てから4時間ちょっと。ようやくクロールに到着した。

店の明かりは消えてる。俺は駐車場のチェーンをはずして中に車をとめた。
比呂の部屋の電気は消えてる。
もしかして出かけてたりするのかな・・・

一気に不安になったけど、とりあえず住居用の玄関にいって
インターホン鳴らした。

そしたらガチャリという音。
なんて無用心な!!!って思ってたら、玄関のドアがあっさり開いた。
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