花 俺、家に帰ってきてさ・・。部屋に入ったらさ・・。 ちょっと前に比呂にもらった花のなかの つぼみだった水色の花が咲いてたんだ。 あの日にもらった花は、一本たりとも枯れてねえの。 俺、毎日水替えて大事にしてて、枯れないように水切りとかもして。 なのになんだよこれ。花が枯れる前に、俺ら終わっちゃったよ。 俺が悪いじゃんね・・・なのに謝れない。 気持ちが大きすぎて、今は比呂の事を考えることすら怖い。 坂口に・・ひっぱたかれた。あの坂口に・・・ひっぱたかれた。 放課後、部活休んで帰ろうとしたら、坂口がいて 別れたことを説明したら、坂口が 『比呂はそれで大丈夫なのかよ。』って聞いてきて・・・ 『別に、どーってことないとおもうよ。だってもう自由じゃん、あいつは。』 って言ったら、思い切りひっぱたかれた。 痛かった。 『比呂は・・普通に育った子じゃないんだよ。 あいつの普通さは、あいつの死に物狂いの努力の上にあんだ。 それを一番わかってるのは、幸村だったんじゃねえの? なあ。比呂が今まで、どんなにお前を大事にしてたか わかんねーの?なんでそんな冷めた事いえんの? 意味わかんねーよ。』 普段温厚な坂口に叱られて、俺はますます落ち込む。 でもいいんだ。別に。 こんなに辛い思いしてるのは、結局俺の方だけで・・。 比呂は楽天的だもん。ポジティブだし、すぐ新しい環境に慣れる子だし。 気持ちの切り替えがうまい人だから、全然大丈夫だとおもうんだ。 だからこそ・・・今更・・、ヨリもどしてなんていえない。 もう比呂は俺と一緒ではない、別の道を歩き始めてるんだし。 今まで比呂にしてきてしまった、数々の迷惑を考えたら 辛くても別れた方がいいんだ。別れた方がいいんだ・・・・・。 比呂にもらったピアス・・・。もったいなくてまだつけてない。 どうせならもらったその日に、つければよかった・・。 そうしたら、比呂との恋の証になって、いつもそれが俺を支えてくれたと思う。 別れちゃった今、このピアスをつける資格は俺にはない。 2007/06/06(水) 23:18:51 |
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