昨日は楽しかったぞ!

ぐっもーにん静岡!今日もなんか微妙な天気だな!昨日は楽しかったーーー!

一昨日の夜、比呂に誘ってもらって、紺野家にとまったんだけど、
そん時に比呂にぼそっと『水族館いきたい』っていったら、
それをね、流すことなくね、比呂が受け止めてくれてね。
『つれてってあげるよ』っていってくれた。『復活記念』だって・・・。

行き先は俺が決めるって言ってくれたから
俺、あれこれ悩まずに、安心してゆっくり眠れた。
先に寝ちゃった比呂にキスをして、ぎゅっと抱きついて眠ったんだけど
気がついたら比呂は起きてて、机の上のライトだけつけて
ぱっこんで仕事の続きをしてた。・・・・・ありがと。

その後また俺、がっつり眠って、6時半ごろ起こされたのね。
『おはよ。行こうか。』って言って比呂が、俺の手を引っ張って起こしてくれる。
俺その勢いに体が反応仕切れなくて、比呂の方にぐにゃ〜って倒れこんだ。
比呂にぎゅって抱きしめてもらえた。やったー!

まあそんなこんなで、7時前に比呂の家を出て駅にむかう。
『ねえ、どこいくの?』『ああ、八景島か、品川の水族館』
・・・いきなり行くには遠い水族館。
そういえばGWだかのときにも、いきなりズーラシアに連れてってくれた比呂。
俺は嬉しいけど・・でも、電車代とか全部出してくれる比呂はすごい負担だと思うんだ・・・。

『・・いいの?』
『なにが?』
『・・・だって・・遠いよ?』
『ははっ。・・夜までにはつくようにすればいいだろ?』
『・・だって・・・・。』

そう俺がうじうじとしだした瞬間、比呂の背後に見慣れたボルボが止まった。
『あんたたち!なにしてんのよ!』比呂が、うげって顔をして振り返る。
ハルカさんの彼が運転してて、ハルカさんが比呂の腕をつかんでいた。

『ユッキーと・・・水族館に・・・いこうと・・。』
『水族館?どこの水族館よ!』
『え・・と・・八景じ・・・。』
『八景島ね!よしわかった!乗りなさい!』

『は?』



『あたし達も八景島にいこうと思ってたとこだったのよ!』

・・・・・何その偶然。


その後、比呂が電車で行くからいいですとか色々抵抗してたんだけど、
無敵のハルカさんにはかなわず、結局ハルカさんの彼氏の車で八景島までいくことになった。

『紺野比呂ちゃん』
『はい・・・』
『露骨に嫌そうな顔しない!』
『・・・・・・・。』
『幸村。』
『・・へっ?』
『あんたは必要以上にニヤけない!』
『・・・・・・。』

まるで兄弟漫才のような比呂とハルカさんを見てたら、誰だって顔がわらっちゃうよ。
ハルカさんの彼氏さんも、すごくニコニコ笑ってた。

ハルカさんの彼を、俺は数回しか見たことないんだけど
高校時代の同級生なんだって。だからもう十数年も一緒にいることになるんだよな。
ハルカさんは、昔は普通に男の子だったんだけど、今の彼氏に恋をして
高校卒業するとともに、男の子をやめてしまったそうだ。
実際付き合えるようになったのは、ほんの数年前だったようだけど、
しょっちゅう喧嘩して、しょっちゅう揉めてる。
いつも、ハルカさんが一方的に怒ってて、彼氏はそれをニコニコと受け流してあげてる感じだ。

途中、海老名で休憩をした。朝飯食ってなかったから、パンとコーヒーで腹を満たす。
ハルカさんが煙草吸いに行っている間、俺はぼんやり外を見ていた。
比呂はハルカさんの彼氏と、車の話をしている。

『850・・ エステートでしたっけ?』
『そうだよ。』
『新車で買ったんですか?』
『うん。』
『へー。じゃあ、ワンオーナーだ。すっげ!』
『あはは。』
『これ、オートマですよね。』
『うん、そうだよ。』

俺にとっては惑星語。

『俺、乗りたいのがマニュアルばっかで。』
『何乗りたいの?』
『フィアットのパンダなんですけど、中古とかしかないじゃないですか。』
『え?じゃあ、昔のヤツ?』
『・・そうそう。今のじゃなくて、箱型パンダがほしいんですけどー。』
『へえー。でもあのデザインはよかったよね。』
『・・俺、死んだ父さんがそれに乗ってたんでー・・』
『そうなの?音羽君が?』
『はい。その頃から俺、大人になったらパンダに乗るって決めてて。』
『そう。』
『でも今のパンダはちょっと違うじゃないですか。』
『ああ。』
『だから、免許取ったらすぐに、あちこち探しまわらねーとーとかおもってます。』
『あはは。紺野くんは、AT限定とかとらないんだ。』
『あ、やっぱ、マニュアル車のほうがいいかなーとおもうし。』
『めんどくさくない?街中はしるときとか。』
『ねー・・それはちょっと考えるけど・・でもやっぱマニュアルの方に乗りたい・・かな・・。』

・・・ううう・・。話に入っていけない。俺も少しは車の勉強しよ。そういう努力もしねえと・・・・。
というか、ハルカさんの彼氏・・『音羽くん』っていったよな。何で名前しってるの?

そのうちハルカさんがきて、そのまま、八景島に行き、チケット売り場の前で解散。
チケット代おごるわよってハルカさんが言ったんだけど、
『デートなんで、自分ら分は自分で払います。』と、比呂がきっぱり言い切った。・・うっはー。

1DAYチケットってヤツを買ってくれたから、それを手首に巻いて
水族館で魚を見て、そのあとジェットコースターとかに乗った。
なんか、高いとこまでくるくる回ってあがってく展望台に2人で乗ってみたんだけど、
案外おっかなかったんだ。比呂は怖がる俺を見てときめいていた。
昼飯を食いながら、俺は比呂に疑問を投げかける。
『最近比呂・・遠出したがるよね。なんで?』
ピザ食いながら、少し眠たそうな比呂は、外を見ながら話し出した。

『・・なかなか俺ら・・ゆっくり話ができねえじゃんね。・・毎日色々なことがあって
・・その話題を話すだけで一日終わって・・。お前の話とかあんま聞けてなかった気がする。
だから行きかえりの時間で・・もっとたくさん話ができたらいいと思ってさ・・。
普段話せないようなこととか・・。時間とか気にしないでいいしさ。
俺も、那央には色々きいてほしい話もあるし・・・。直ぐには思いつかないけど。』
『・・・・。』

比呂はコーラーをぐいっと飲んで俺を見る。

『もともとさー、電車移動って好きなんだよ。なんか冒険みたいじゃん。』
『ああ・・。』
『乗換えとか・・考えるの楽しいんだよね。駅周辺とか調べてさ、途中下車妄想とかしてみたり』
『ふふっ。』
『自転車じゃ限界があるじゃん?でも、電車だったら、えっらい遠くまでいけるし。』
『うん。』
『車にのるようになっちゃったら・・もう電車には乗らなくなっちゃう気がするし・・・
だから今のうちにいっぱい乗っておこうかなーって・・。』
『・・・・・そうだね。』

俺はシーフードパスタをくるくるフォークに巻きつけてそれをゆっくり口に運ぶ。
比呂が言った『今のうちに』という一言を、何度も心でリピートした。

今のうちに・・・。

比呂とこうやって付き合っていられるうちに。
沢山美味しい物を食べて、いろいろな場所を見て回りたい。
会話もして、思い出を共有し、同じ事で悩んで、二人で乗り越えたい。

帰り道、比呂が助手席にのって、ハルカさんの彼氏と車の話で
盛り上がっているのをききながら、俺とハルカさんはそれぞれに
互いの彼氏をみながら、微笑ましく思うのだった。


恋ってきっと・・そういうもんなんだな。



2007/06/11(月) 08:00:24
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