2007/6/22 (Fri.) 00:12:15

今日は朝練が休みだったんだけど、体なまるとあれだから、運動場を走ってきた。
そんで教室の方にあがっていったら、比呂がロッカーの上に座っている。

『なにしてんの?』『まってんの。』
『誰を?』『塩ちゃんを。』
『なんで?』『漫画返す。』
『なんの?』『ジャンプ。』

一問一答形式で、比呂が俺の問いかけに答える。
手足、顔にはアザも怪我もないみたいだ。
よかった。昨日、情緒不安定みたかったけど、頑張って一晩のりこえたんだな。

比呂はDSでゲームをしている。

『なにこれ。』
『・・・DS』
『みりゃわかる。なんでこんなのやってんの?』
『携帯と間違えてもってきちゃった。』
『・・・・・・。』

『昨夜、蒸し暑くて寝れなくて、寝付いたのが明け方だったんだ。
で、朝寝坊して、急いで支度したら、ケツポケットに、DSはいってた。』
『・・・・・。』
『ちなみに今日。部活ジャージ、中学の時のジャージだから。』
『は?』
『俺、急いでるのに、わざわざ一階まで降りて、クローゼット漁って、
中学の時のジャージを出して、もってきたんだぜ。すげえだろ。』
『すげえな。』
『あーもー、ほんとあの時は完全自分を見失ってた。』
『ははは。でジャージは着れるのかよ。中学時代製。』
『ああ、大丈夫。上は無理だけど、下はなんとか。ただ若干、丈が短い系。』
『伸びたもんな。背。』
『うん。まあね。』

ちょっと嬉しそうな比呂。大好きな父さんにおいつけてよかったね。

比呂が、なんか色々喋りながら、ゲーム画面を俺に見せる。
手の震えもないな。顔色も悪くない。薬は飲んでないみたいだ。
それにしてもファンシーなゲームだなあ・・。

あまりにずっと喋ってるから『最近、独り言増えたね、お前』といって、
比呂のほうをみて笑ったら、比呂が、画面に集中しながら言う。

『お前が返事しないから、独り言になっちゃうんだろー。俺はさっきからてめーに
喋ってやってんの!今のが全部独り言だったら、俺完璧にビョーキレベルだろ!
あ・・ちょっとまって。今大きい魚影が見えたから集中する。
川だし、このサイズだからー・・ドラドだったらいいなー。』


言いたいことを一気に言って、黙る比呂。ちきしょ。かわいいな。

俺は比呂の話す言葉に、いちいち返事して、いちいち笑う。
比呂がいつもよりも沢山話しててそれが何より幸せだった。
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