Date 2006 ・ 10 ・ 02

バカ比呂

午後、掃除が終わったあたりで
薬が切れてきたもようの紺野との会話。

『こんにょ、今日、部活出るの』
『(首を横に振るこんにょ)』
『見学?』
『しない。』
『帰る?』
『わかんない。』
『わかんないってなに?』
『そんなこと聞かれてもわかんない(黒板に顔をくっつける比呂。)』
『わー!ばか!そこまだチョーク消えてないっ!!』
『わーかーんーなーいー・・・。』
『ああああーーもうっ!ほら!(といいつつ、比呂の頬を両手で包む俺。』

・・あ・・・熱い

『黒板つめてー・・・。』
『ばかか!!!熱あるじゃんか!さっさと帰れ、あほんだら!』
『・・・・・・酷い・・。』
『みろよほっぺー・・。字がうつっちゃってるじゃんかー。かぶれるよ。』
『なんて字?』
『き・・?』
『き・・・・はははは・・・・。』
『や、笑えねえから。』
『・・・・。』

・・・ぽやーっと俺を見る顔がかわいい・・・

『一人で帰れる?』
『いつ?どこへ?だれが?どうすんの?』
『今、家に、君が、帰れ。』
『はい。帰ります。でも病院に』
『病院どこよ。』
『荻野内科』
『えー!!微妙に遠いじゃん。』
『げほげほ。』
『もう、しょうがないなー。俺も一緒にいってやるよ。病院。』

期待半分、でも断られる覚悟半分で俺はそういった。
でも比呂はあっさりと『わかった。一人で行くの怖いし・・』っていったんだ。


もしや俺の頭上にラッキースターが?!




俺は部活の先生に断って、比呂を送っていく事にした。
時間かかるかもしれないから、部活自体休むことにしたんだけど、
病院までの道のりを、比呂と一緒にチャリで進んでいったら
比呂が『ひとりじゃ怖い』といった意味がわかった。

病院までの1キロほどが、猛犬だらけだったからだ。
といっても飼い犬で門の中で鎖につながれてるんだけど、自転車で通るとうるせえの。
ギャンギャン吼えて、犬好きの俺でも、ちょっぴりヒくくらいだった。

比呂は犬に吼えられるのが嫌いだから、本当に嫌なんだろうなって思った。
現に、病院に着いた途端に比呂は開口一番『もー・・犬っ・・まじ犬っ・・。』っていってたもんw

待合室は空いていて、すぐに診察してもらえた。
注射打って10分くらい横になってたら比呂はすぐ良くなった。

比呂の家にいって、途中でアイスを買って、2人で食って、そんで俺は帰った。
アイス食ってる間も、比呂はぐだぐだで、だから今日こそ俺は
『調子悪かったら絶対休め』と約束をした。


・・・バカ比呂は、すぐ無理をする。
無自覚でやるから、本当にこまる。
一番困るのは、無理させている自覚があるのに
それを嬉しく思ってしまう俺だ。

俺は激しく反省しつつ、
でも・・・ほっぺに『き』の字がついちゃった比呂の
顔を思い出したら、胸がキュンとしてしまうのだった。



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