2006/10/08 (Sun) 16:22
こないだ。
学校に行こうと思って 何の気負いも無く自転車を漕ぎ
突然の雨に驚いて 雨宿りしようと思ったら、土砂降りの真ん中に比呂がいて
自転車乗り捨てて駆け寄ってったら
どんなにあいつを見ても 全然俺と目をあわそうとしない
比呂はぼんやりとした顔で 涙だけが雨に混じって流れて、比呂が必死で見ようとしてるものが
俺たちの生きるこの世界のものでは無いって事がなんとなくわかった
雨と風のせいで比呂の頬が冷たい。ただでさえ低体温の比呂だ。
これ以上冷えてしまったら 本当にどうにかなっちゃうよ。それともどうにかなりたいのか?
俺はそんなの許してやんないよ
頬を叩いて名前を呼んだら まるで眠りから覚めたような顔で俺を見て
『なんだ・・麦か』と言った後、『痛っ・・なんでいきなり殴ってくるんだよ』と、俺の脚を蹴っ飛ばした
・・・そーだよ、麦だよ。お前の事が大好きな緑だよ。
自転車にのって、2人で学校への道をすすんだ。ここまで濡れたら吹っ切れた。
むしろ雨が激しくて本当によかった。
俺は比呂に、涙のわけを聞かずにすんだし、
比呂は俺に、涙の理由を何一つ言わずにすんだ。
学校に着いたら、ピンクのあの子が下駄箱にいて、
比呂をおっぱらっていったから俺は職員室に向かった。
びしょぬれの俺を見た岸先生が『どーした、佐伯』と駆け寄ってきた。
どーしたもこーしたもねえよ
俺だって どーすりゃいいのかわかんないよ
俺はそのままへたりこんで、何も喋れなくなってしまう。
岸先生は大人だから、俺が落ち着くまで黙って背中をさすってくれた。
さすられた背中が温かかった
雨の中で触った比呂の頬・・死にたくなるほど冷たかったな・・・