
2006/11/6 (Mon.) 21:52:50
昨日、麦と一緒に『サヨコ』とかいう女の見舞いにいったらしい比呂。
昨夜はメールもなかったし、俺は朝から不機嫌バージョン。
教室に入ってきた比呂と、目が合ってすぐにそっぽを向いたら
比呂が俺の方に歩いてきて、俺の両頬を手で覆うと、じっと俺を見ていった。
『おはよう。』
ぱっと手を離して、比呂はリュックを自分の席に置くと教室を出て行った。
俺の心臓がスピード違反中・・・
そのすぐあとに、隣の教室から『きょんのー!!おはよーー!』という声が聞こえる。
隣のクラスの木間の声だ。色々なやつの笑い声。
比呂はいろいろなとこに居場所がある。
俺は、なんか悲しくなって、窓枠にもたれて外を見た。
不機嫌モードになったとこで、比呂を独占はできないのだ。
溜息ついたら後ろから、バシッと背中を叩かれる。
振り返ったら小沢がいた。んで、にこっと笑って俺を引っ張った。
『紺野が呼んでるよ。』
小沢と一緒に隣の教室に行くと、10人ぐらい集まって話をしていた。
今日の合同体育のソフトボールが、雨で中止になりそうな予感だったから
かわりに体育館でやる種目を、考えてって言われたらしく、話し合ってるとこだった。
よく見たら、1組2組の席が最後列のやつらだった。
『バスケと卓球とバトミントンと、インディアカとフットサルかー。』
『俺跳び箱やりたい。』
『いいねー。マット運動とか?』
『じゃあさ、十種類くらい挙げてさ、あみだで決めようよ。』
『じゃあ、俺がかくよ。あみだ。』
比呂はそういうと、黒板脇に積んである藁半紙を一枚とってきた。
そして木間の机に紙を置くと、『キーやん、書くもの、かしょう』といった。
※かしょう=かしてくれ
木間から鉛筆を借りた比呂が、藁半紙を手で押さえて字を書こうとする。
あれ?
『どしたの?手。』
『・・・?』
『テーピング・・。』
『ああ、これ?これは普通につき指。』
『え?うそ。どこで?』
『昨日病院で。エレベーターでボタン押そうとした時、後ろから子供がぶつかってきて。』
『うそっ。』
『ほんと。』
『痛い?』
『痛くない。』
みんなが、体育の件であーだこーだ言ってる間、俺等はそんな会話をした。
そんで、比呂が字を書き始めて俺に言う。
『えーと・・おみくじだっけ?』
あほか。
ちょっと話すると、ころっと忘れちゃうんだから。
『おしい、あみだくじ』
俺が言うと、比呂は笑って、俺に言った。
『あーそっかー。』
すらすらと左手で、字をかいていく比呂。
左利きって・・なんかいいよな。
俺は普通に右利き、平凡の塊。
俺等は、わいわいと盛り上がりながら、あみだをして、結果合同体育はバスケになった。
俺はちょっと憂鬱だ。
だって、バスケになっちゃうと、すげえうまくてかっこいい麦に隠れて俺なんか、ゴミみたいに思えてくるから。