
Date 2006 ・ 11 ・ 26
バイト帰りの夜道で。
昨夜、比呂の家にとまって、今日は2人で昼からバイトに行って、
20時にあがって、その帰り道、比呂と2人自転車押しながら
商店街の一本裏の道をあるいた。
『今朝のごはん、おいしかった・・。ほんとにありがとう。』
マフラーを顔の半分ぐらいまで巻いてる比呂が、
照れくさそうに言ってくれたから、俺は嬉しくてニコニコ笑う。
恋人みたいだなあ・・比呂はそんな風には思ってないんだろうけど。
今日は店が忙しくて、比呂は病みあがりだし大丈夫かなって思ったんだけど
全然へっちゃらで、元気いっぱい働いた。
『疲れなかった?今日。』俺がそういって顔を覗き込むと、比呂は俺のほうを見て
『ありがとう。大丈夫。』と言って笑ってくれた。
・・・優しいな。
俺は比呂の笑った顔を見れてますます嬉しくて、ずっとにこにこ笑っていた。
そのとき
商店街のどこかの店から、なんか歌が聴こえてきて、そしたら比呂が
『あ、俺、この歌スキ。』といって、そんで小さい声で口ずさみ始めたんだ。
のんびりとした曲で、本当にゆっくりしていて、歌詞がなんかかわいくて・・
俺はますますトキメキハートだった。
比呂が歌うと呼吸が凍って、暗い道に白い雲の子供みたいなやつが
ふわーっとできて、俺がふふっとわらっても、雲の子供みたいのができて
すぐ消えて、またできて・・比呂の歌声と・・俺の笑い声と。
何一つ無駄の無い空間で、俺はひたすら比呂の歌声を聴いていた。
いつもの曲がり角で、じゃあな・・と別れて
俺は立ちこぎで家に帰る。
で、いそいでPC立ち上げて、歌詞検索してその曲を見つけた。
そんでアイチューンストアみたら、その曲売ってたから
即買いして、風呂に入って、ベッドに寝転んで、
曲聴きながら何度も歌った。
朝のおかゆも、さっきまで冷たさに震えてた夜の風も
それら全ての景色の中に、俺の大好きな比呂がいた。
今日一日ずっとずっと、ひたすらに彼は穏やかだった。
すうっと息を吸って吐いた。
暖かい室内で雲の子供は出来なかったけど
目を閉じると、俺の心の景色は澄み切った青空で
時々真っ白な雲が流れて、その下で比呂が笑っているんだ。
いい一日だったと思う。
充実という言葉は、こういう日のためにあるのかもしれない。
だとしたら、俺はずっと、その言葉を特別に思うし
その言葉が特別になった理由が、大好きな比呂にあることを
愛しく思うし、大事に思うし、幸せだなあと心の底から実感するのだ。
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