蹴落とすとかそういうんじゃなくって。

あー・・。緊張する。センター試験の日が近づいてきた。
ここんとこずっと塾の強化授業で、神経がぺらっぺらに磨り減ってたんだけど
今日はあえて塾には行かないで、家で勉強した。比呂に来てもらって。

比呂は、今日のバイト休みを取るために、土日フルにバイトはいってくれて
朝から夕方までそばにいてくれた。親がいるからエッチなんかできねえのにね・・
比呂はだまーってベッドに寝転んで、ずっとDSをやってて
そのうちなんかを書き出して、そしたら交換日記だった。

昼飯は息抜きがてら外に食いにいく約束してたんだけど、
母親が勝手に飯つくったりするから、家で食うハメにあっちゃって・・
でも、比呂的にはうれしかったみたい。
カラアゲとか、牛乳寒天とかがあったから、すっげー嬉しそうに食ってんの。
俺の母親、比呂に飯食わすの大好きなんだ。
比呂と、坂口と、麦に食わすのが好き。食いっぷりいいし、うまいうまい言うから。

そんで、比呂がいるのをいいことに、普段聞けないようなことを話しかけてくる。
『センター試験大丈夫なのか?』とか『彼女とかいないのか?』とかさ。
ふざけんなよ・・バカ親・・。だから俺、無視してたんだ。ぶすくれて。
そしたら比呂にぱこってポコられた。『おっ前、大丈夫なの?試験!』って。
比呂にはちゃんと相談してるんだし、わかってるでしょー・・とおもったけど、しょうがないから一応喋った。

『勉強はしてる。してきたことが全て結果につながるなら自信もある。
でも、本番ミスるかもしれないし、大丈夫かはわかんない。』って。

昨夜さ、親にさ、『明日、比呂が来るから。』っていったのね。
そしたらさ、『テスト前に遊んでていいのか。』っていわれたんだ。
俺、カチンときてさ『不安でたまらないから、そばにいてくれって
頼んだんだよっ、比呂にっ。』って怒鳴っちゃったんだ。

あとで、それを比呂に言ったらさ、比呂は電話の向こうでしばらく黙ったあと
『そんななりゆき・・・おじちゃんもおばちゃんも知らなかったことだろー・・。
不安なのはお前だけじゃねえんだからさー。』っていわれた。反省した。

俺、比呂にいわれれば納得するのに、親にいわれたり兄ちゃんとかにいわれると
むかつくんだ。なにもしらないくせにって・・・。
・・・・悪いのは俺だってわかってるけど、家族だからこそテレて本音をいえない部分はある。
昨夜、寝る前に一応その件については親に謝ったんだ。比呂にああいわれて反省したから
・・あやまんないと気分悪いし・・今は受験ストレスだけで精一杯で、
余計なもやもやを抱え込みたくないんだ。

で・・昼飯食ったりはしたけど、それ以外はただ比呂は俺の部屋にいただけ。
俺がたまに不安のどん底に落ちると、比呂のとこにいってぎゅって抱きつく。
そうすっと比呂が俺の背中さすって、いいこいいこしてくれるんだ。

毎日毎日・・勉強頑張ってる。
今は、すきでやってるっていうより、受験のために必死になってる感じでさ。
頑張ってるのはあたりまえじゃん、受験生だから。だから誰もほめてくれない。
やってもやっても『大丈夫なのか?』『勉強やってんのか?』って・・そればっかなんだよね。
皮肉でいってるわけじゃないって・・そんなのわかってんだけど・・
でもやっぱさ・・やっぱさあ・・

比呂は認めてくれてほめてくれるから・・
比呂だけじゃないけどさ・・小沢とか麦とか友達みんなが心配してくれてるけどさ・・
でもやっぱ俺は比呂が大好きだから・・好きな人が自分を知ってくれてることがすごく嬉しい。
夕方になって、帰るとき・・俺の部屋から出る直前・・
開きかけたドアを一旦しめて、抱きしめてくれてキスしてくれた。
俺が泣いたら、またちゅってしてくれた。

ドアの前で、すごいらぶらぶーって感じで・・そんなハートマークが飛び散る空間で、
比呂は相変わらずおぎやんとかの話して、俺、心の底から大笑いした。

比呂に抱きついて、大笑いした。
俺、おもう。世の中の受験生のひとって、みんなが頑張ってるとおもうから、みんなが受かればいい。

俺だってこんなに心配で・・不安で死にそうな気分なのに
それでも震えるシャーペンで、同じ公式を何十回も書いてる。
受験対策問題のタイムトライアルで、画数多い漢字かきながら
心臓がバクバクいってたりするんだよね。あれ?コレ一本多すぎか?とか。
勉強しすぎて、わけわかんなくなるときあるんだよ。

でも、それでもなんかしてないと不安でさ。

岸先生に相談したらさ、『無理に勉強する必要もないけど、無理に息抜きする必要もないから。』
っていわれた。勉強してなきゃ焦るっていうなら、好きなだけ勉強すればいいって。
自分が安心できるような方法があるならそれを選べばいいって。

さっき小沢から電話があってさ『・・・寒いねー・・。無理してないかい? 』っていってもらえて
嬉しくてさ、今日一日の事を話したら、いつもみたくひゃーひゃーいいながら話を聞いてくれたんだ。

俺はもう、一人きりじゃ頑張れないのかも。
頑張るのは俺自身だけど、周りの大事な人たちにすがってすがって甘えまくって

不安で抱えきれなくなった心の荷物を一緒に持ってもらって、やっとまっすぐ歩くことが出来る。
俺の生活はここ数日、受験一色なんだけど、ちょっと一歩踏み出すと、いつもどおりノンキな生活を送る
友人や恋人がいる。

早く受験戦争から抜け出して、あの居心地のいい平穏な生活に戻りたい。
合格して、比呂や小沢や・・俺の家族を安心させたい。


とりあえず今日は寝る。

っていうか、ベッドの中で、比呂の顔を思い浮かべて
おぎやんネタのあの話を、心でリピートしまくりたい。

おやすみ!


2009/01/12(月) 23:00:48
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