2009/2/17 (Tue.) 22:37:33

ぼんやりと外を見る。今日は寒い。
風も強い。

日曜日の夜に会ったとき、『俺も学校行こうかな』みたいなこといってたのに
月曜日、比呂は学校に来なかった。電話したら、寝起きみたいな声で
『起きれなかったー・・。』って。

月曜は午後から比呂はバイト入れてて、結局会えなかったんだ。
で、夜にしょぼんと寝ようとしてたら、携帯が鳴ってメールだった。

<明日、学校行く?

俺ら三年生は、今は自宅学習期間。だから学校に行っても行かなくてもいいんだけど・・

<行くよ。

って打った。そしたらちょっとして

<わかった。おやすみ。

ってね。

<おやすみ。また明日。

って返事した。布団の中、俺は幸せな夢を見る。


そして朝、ものすごい風の音で目が覚める。
外見たら遠くの山が白い。雪降ったの?!えーー!!

ぼさぼさ頭のまま下に降りてくと母親が朝飯作ってくれてて
『那央、今日はどうするの学校。』っていう。『いくよ。』っていいながらコーヒー飲んだ。

着替えて家を出る。雪は山のほうでしか降らなかったようだ。
でもすっごい寒い。風もびゅんびゅん吹いてる。これじゃ比呂・・ベッドからでられなくて
結局学校こないかなーって、マイナス思考に矢印が向かう。
でも、どっかで諦められない、その気持ちが俺の中の矢印をグイっとプラスの方に向けた。

教室に行くと小沢がいて、坂口がいて、麦はいなかった。
『麦ちゃんは電気科のほうにいってるよ〜。』坂口の声に、黙って頷く。比呂は来てない。

小沢も机に突っ伏して寝てるし、坂口はマンガ読んでるし、
だから俺はぼんやりと教室を出て駐輪場の見えるとこに移動する。

片想いの頃・・。比呂のことを、毎日ドキドキしながら待った。
自転車こいで寝ぼけたような顔で比呂が来ると、心臓が止まるかとおもった。
あの頃を思い出して笑う。俺・・ほんとにずっと比呂のこと好きだよな。
毎日毎日大好きで・・きっと死ぬまで大好きなんだろうな〜・・・。

そんなことをぼんやりと思っていたとき、俺の視界に見慣れた影。
思わず身を乗り出した。比呂が自転車でスーっと駐輪場の方に入ってきたんだ。

『わ・・・。』
思わず声が出る。比呂は俺に気がつかないようで
自転車から降りると、空いてる場所を探して自転車をとめた。
俺は走る。階段を3段抜かしでおりて、途中の便所にはいって鏡で髪形チェック。
ボサってたとこを水でぬらして整えてそんでまた猛ダッシュ。
いっきに下駄箱まで走ったら、ちょうど上履きをはいたとこの比呂がいた。

『ひろっ!!!!』
俺は駆け寄って抱きつく。好き。大好き。比呂が来た!比呂が来た!!!

比呂は俺の頭をぽんっとたたく。『誰かに見られたらどーすんのー・・。』っていって笑った。

『今日、用事ないの?』
『ああ。うん。夜はバイトだけど。』
『昼間は?』
『ないよ。』
『最後まで学校いる?』
『・・・那央はいるの?』
『うん。』
『じゃあ、俺もいる。』
『・・・・・。』

わあ・・。

わあああああ!!



嬉しすぎて下駄箱をバンバン叩いて照れ隠し。
比呂が『こーらー・・』って、どうでもよさそうに俺を叱る。

『比呂っ。今日小沢いるよ!』
『へえー・・。』
『坂口もいるけどマンガに集中してる。』
『ははっ。』
『比呂、今日なにもってきたの?』
『製図道具。』
『まじでー?!』
『久々に設計図かきたいなっておもってさー。』
『じゃあ俺もかこうかなー。』
『道具もってきてんの?』
『ロッカーにおいてある。』
『じゃあ、俺のクラスに来いよ。どーせ机もイスも空いてるだろ。』
『空いてるけどー・・でも昨日はほとんど全員きてたよー。』
『まじで?どんだけヒマなんだよー。』


階段をあがりながら話は止まらない。比呂がいるだけで景色が違う。
俺の視界に比呂がいるだけで、空気の質までみるみる変わる。

時間がちょっとだけいつもよりゆっくりモードで流れればいいのに。
大好きな声、大好きな手。

好き

好き。
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