ノータイトル March 08 [Sun], 2009, 21:39 ただいま。 病院から帰ってきたら、やっぱりここが俺の家だとわかった。 近所の人がみんな来てくれて、となりのちかげには告られるし なんか慌しかったけど、その全部がすごくありがたい。 ゆうべ・・飯食って風呂はいったあと、さやと遊んで二階に上がって この部屋に独りになったとき、腰が抜けたみたく立ってられなくなって 体中が震えた。涙が勝手にぼろぼろでた。 自分が死んでたかもしれないって思ったらすごく怖かった。死ぬのは怖い。怖いことだ。 どうしようもなくて那央に電話したら、那央はいつもみたいに『比呂〜』って、 ハートマークいっぱい飛ばしたような声で、俺ににゃあにゃあ甘えてくれた。 俺はそれだけで震えが止まったんだ。 今日は昼過ぎに遊びに来てくれて、ファンタとケンタとからあげもってきてくれた。 ケンタはおじちゃんたちにで、俺には那央作のから揚げだった。 部屋で食ったらすごいうまくて、泣きたくなったけど我慢した。 俺が食うのをすっげえかわいい顔で、ニコニコ笑いながら那央がみててくれたから。 那央が笑ってくれるだけでうれしい。 散々甘やかして約束もして・・あれで死んでたら俺、どうするつもりだったんだろう。 つもりもなにも、死んだら何もできないんだけど・・でもほんと・・どうなってたんだろう。 おっくんは・・ おっくんは・・いきなり死んじゃったけど・・でも・・ 生きてるうちに沢山のことを教えてもらったなあっておもう。 果たせなかった約束とか、いっぱいあったけど・・・ でも、約束してくれたその気持ちが・・うれしかった。本当に。 おっくんのことを思い出すと、いいことしか浮かんでこない。 おっくんの子供に生まれて本当によかったって、今もそう思う。 おっくんにあいたいよ。会って沢山話したいことがある。 だけど、それと死ぬことは違うんだって。 俺が望んでることは、自分が死ぬことじゃないんだって。 岸先生にいってもらえて・・すごくなんか・・うん。 岸先生はおっくんに似てるから・・なんか・・ すごく懐かしいような気分になった。 おっくんには沢山やさしくしてもらったけど、しかられたこともいっぱいあった。 一つ残さず俺は覚えてる。幼稚園の運動会で一緒に走ったこととかも・・ 手つなぎ遠足でへとへとになったことも全部覚えてる。 ばあちゃんの作った弁当とか、じいちゃんが竹馬つくってくれたこととか・・ 俺はおっくんが死んで寂しかったけど・・十分愛されて育ってきた。 人一倍幸せな思いをしていたのかもしれない。 おっくんは短い生涯だったけど、俺には大事な大事なお父さんだし ずっと大好きで忘れられない人だ。あんな人に俺はなりたい。 前にもそう思って決心したんだ。 死ぬとかそういうことに逃げないでちゃんと生きていこうって。 なのにさ・・やっぱり揺れる。ぐらつくたびに、人に迷惑かけて・・ でももう俺の命は、俺だけのものじゃないから・・大事にしたい。色々なものを。 自分に都合のいい解釈のような気がするけど・・でも・・ そういうのを受け入れる覚悟が・・俺には一番できてなかったような気がする。 おじちゃんに迷惑だから、家から出ようとか・・ 洗濯ものとか洗ってもらうの悪いからコインランドリー行くとか そういう風に、自分の勝手を押し通してきた俺は最低だったと思う。 那央には沢山のことを教えてもらったよ。 あいつが俺にわがままとか・・嫉妬とかをぶちかましてくれたから 俺も遠慮なくあいつのことを思えたし、いつでも安心していられた。 那央はすごいなあとおもう。 まっすぐ人に向き合えるって・・すごく勇気がいることだ。 俺がそれをできない人間だから、那央はいつも不安がって 年中泣いて俺のそばから離れなかった。 ・・那央は俺がいなくても・・生きていける強さを持ってるけど 俺は駄目だ・・那央を置いて死んでいける勇気がかけらもない。 生きていきたいって思ってしまうと・・おっくんがいない世の中を 受け入れてしまうことになるような気がして 今だって・・単純に・・そんなことを考えられないけど・・ もしあの時・・おっくんが・・俺のように助かってくれてたとしたら きっとおっくんは幸せな人生を切り開いていったんだと思うんだ 俺は助かった。これから先、どう生きてもいいんだろうけど・・ 切り開いていける人間になりたい。 おっくんが生きてるうちに・・・俺がちゃんとおっくんの子供だったんだって 認めてもらえなかったんだけど・・だけど・・これからの生き方が 証になるなら俺はがんばりたい。 二人の父さんのいいところを、全部引き継いでがんばりたい。 おっくんもおじちゃんも・・おばちゃんも・・ 死んだ俺の母親も・・やっぱり同じようにみんな大事だ。 今はまだ受け止めきれないことばっか多くって 疲れるけど・・そういうときは那央の声聞いたり、さやをだっこして まともに向き合えない弱虫は、少しずつ横道に逃げながら ゆっくりなんとかしていけばいいのかもなっておもう。 そんないっぺんになにもかもできないし・・ 明日は卒業証書もらう。さっき那央からメールが来て、 第二ボタンくれとか言うから、ちかげにやっちゃったんだけどって言ったら怒鳴られた。 ボタンくらい別にどーでも・・って思ったけど、ぎゃんぎゃん騒がれて嫌な気はしなかった。 ピカ工ジャージで手を打ってもらえたから一安心だ。 一個難題乗り越えたじゃん。よかったね、ゆっくり眠れるね。 正直言うと・・寝るのは怖い。 また起きれないんじゃないかと思う。だけどもうそれはしょうがないから、起きれなかったらあきらめる。 でも目が覚めたら、その日一日がんばって、精一杯生きようと思う。 語り過ぎて疲れた。こういうのあんまむいてない。 おやすみ。 |
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