チャイルドシート

部活の後、比呂にたのまれて、一緒にチャイルドシートなるものをみにいった。
びっくりするら?結婚もしてねえのに、そんなの一緒にみにいっちゃったよ。

部活が軽くあって、その後にバイトまで2時間くらい時間あってさ
どうすんのかなーとおもったらさ、比呂が『な〜あ〜・・。』とかいいだして
なーにお前甘えてくんのよ、二時間弱じゃラブホはちときついぜー?とか
一人で桃色気分になっていたら、『買い物ついてきて。』っていわれた。

さやくん、どうやら退院するんだって。週明けに。で、そのときは山梨のおばちゃんの親戚が
自分の子用のチャイルドシートを乗せた車で迎えにいってくれるからいいんだけど、
里帰り終わった後に、静岡に戻ってくるわけじゃん。ないとまずいわけじゃん。
チャイルドシートって義務付けられてんでしょ?俺んち姉ちゃんも持ってる。
しっかも山梨から静岡って、すげえ山道ばっかなのね。うねうねなんだよ。
だから、比呂が『超安全設計なチャイルドシートを、俺が買うから。』って
おじちゃんたちと約束したんだって。おじちゃんがこっちに戻る時に、それをもっていって、
里帰りあけて、静岡に戻る時、さやくんをそのチャイルドシートに載せて帰るって計画らしい。

チャイルドシートなんて高いじゃん。そんな俺らがホイホイ買える値段じゃねえし。
でも比呂、ちゃんとそのために金を貯めてたみたいなんだ。
バイト代でたら、ば〜っと使ってる感じだったのにな・・・。
俺とのおデート代も、全部出してくれるし・・・。

デパートいって、なんかちょっとお洒落チックなベビー用品店にいったんだけど
やっぱ、ああいうとこってファンシーじゃん。俺ら、浮く浮く。
俺もなんか買ってやりたかったから、かわいい帽子と、意味のわからない
人形?タオルみたいな感じの素材で出来たやつ。
なんかへんなとこ押すとキュっと鳴る・・・。
俺それ、妙に気に入って、そいつもあげることにした。 

そんなので遊んでたら、比呂、店員さんと真剣に話してて
『予算はどれくらいですか?』って聞かれたとき
『あんま安いのはイヤなんでー、安全性とか重視で。金はどうにでもしますんで。』
とか、やたら男らしいこと言ってた・・・。
そしたら店員さんも、カタログとか見て真剣に対応してくれて
結局6万ぐらいのやつに決めてた。なんか、配色とかお洒落なんだけど、
素人目にみても、かなり安全っぽい。

その場で金払って、モノはおじちゃん来るまで店で預かってもらうらしい。
店から出るとき比呂がぼそっと『こんなに安くて大丈夫なのか・・。』と
ぼやいてるのに、再び驚く俺。
10万以上すると思ってたんだって。だから、20万とかいくようだったら
免許とり行くために貯めてた金を使おうと思ってたとか言う。
『そんなの、せっかく貯めたの使ったら、免許取りいけなくなるじゃん。』
って俺が言うと、『また貯めりゃいいし。』って、ふっつーに返された。


・・・俺もやっぱ・・免許ぐらい・・自分で金貯めてとらないといけないのかな・・
(バイト代は一切貯金していないことに、妙に罪悪感を感じた瞬間)
ううう・・・。比呂は金銭感覚完全にくるくるぱーだとおもってたのに・・。


チャイルドシート買った後、まだ時間あったから比呂が
『飯くうか。』っていってくれて、そばにあったカフェに2人で入った。
席について注文すると
『で、こないだ、何の話しようとした?』
って、前のことをまだ覚えててくれてる。俺が、感動してだまってたら
『服着て話すようなことじゃねえんだっけ?』
って言って笑った。

そしたらね、比呂がベルトんとこにつけてたキ-ホルダーから
鍵を一本俺に渡すの。
『俺だけの家じゃねえから、合鍵とかは、あげられねーけど』

比呂より2時間早くバイト終わる俺に
『家でまっててよ。俺も、ゆっくりお前と話がしたい。』
って言ってくれたんだ。・・嘘みたいに嬉しかったーよ・・。

渡されたのは家の鍵。比呂の家の鍵。
俺、大事に財布にしまって、落とさないようにバッグの奥のほうに
つっこんで、そんでへへっと笑った。


で、比呂のより先に紺野家に入った俺は
現在彼氏の部屋のベッドで、彼氏のノーパソでこれ打ってる。
こっそり履歴とかみたら、エロサイトとかもみてて、こりゃあとで説教だ。

・・エロサイトの履歴の合間に、育児サイトとかが数件まじってて
妙に微笑ましくって、妙に愛しくなって比呂が大スキだと思った。

もうすぐ帰ってくるかなー。
俺があいつにしたい話なんか、本当はたった一つ。
『大好きだー。』ってことだけなんだけど・・ね。はは。

2007/11/24(土) 22:34:10
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