すごく覚えていたい一日 ただいま。幸せだったよ。なんか。 あいつとしたセックスとか、全部最初から巻き戻して体感したいよ。 なんか、まだ泣けてくるよ。俺、なんでこんなに比呂が好きなんだろう。 ねえもう・・どうしたらいいんだろう・・。 絶対比呂、俺がいなきゃ駄目だよ。そばにいてあげたいよ。 どうすりゃいいんだろう・・・。 バイト終わって、一緒に比呂の家まで行くとき・・ いつもは、途中で店とかに寄るの。食うものとか飲み物とか。 でも今日は、比呂、黙ってて、そういう比呂に俺、声とかかけれないから 黙ってついていったんだ。葬式に参列してるみたかった。そんくらい俺ら、黙ってた。 家に着いて、比呂が鍵あけて、俺を先に入れてくれて 後から入った比呂が鍵を閉めて・・さ・・。 靴も脱いでねえのに、比呂が俺にキスすんのね。 いきなりな割には、すげえやさしくさ・・。 サカってるわけじゃないんだなって思って、だから俺、比呂の頬に触れた。 そしたら比呂が泣きそうな顔してね・・だから俺、比呂を抱きしめたんだ。 ・・俺の肩が濡れたのがわかった。 背中擦ってたらおちついたみたくて『ごめん・・ありがとう』って言う比呂の声が 泣き声で・・・上げた顔が泣き顔で、比呂の目に映る俺の顔も 比呂以上に酷い泣き顔だったと思う。 『・・・・・。』無言で俺の手を握る比呂。そっとその手を引いて、先に靴を脱ぎあがる。 優しく引き寄せられながら、靴を脱ぎ無言で比呂の後についていく俺。 時々比呂が、涙を拭くのね。悔しくて泣いているように見えた。 部屋に入ったらそのまま、比呂が俺の肩を抱いてね そのままカーテンを閉めにいくの。・・・俺を一瞬も離さないんだよ。 そんで俺をベッドに座らせてね。やっと比呂の手が俺の体から離れて・・ 手のかわりにくちびるが俺に触れて、俺は比呂の肩に両手を回した。 舌を入れない触れるだけのキスを繰り返しながら比呂が 俺の服をゆっくりと脱がした。 『・・・寒い?』比呂が、すごく小さな声で俺にきく。 『ううん・・。大丈夫。』俺は、息を乱しながらそう答える。 そしたらさ、比呂がさ・・ゆっくり俺をベッドに沈める。 そんでね・・俺のくちびるを甘噛みしながらね・・・殆んど息なんじゃないかって声で 『・・・俺の手・・冷たくて・・・ごめん。』っていったの。 それを聴いたら、俺、なんかさ・・からだの奥のほうの心を わしづかみにされた気分になって、潰された気分になって 涙が止まらなくなっちゃったんだ。 冷たくないよ。比呂はあたたかいよ。いつも俺をあたためてくれる。大好きだよ。 心でそう思ったけど、声に全然ならなくてね・・・、俺・・比呂の唇を噛みかえした。 しゃくりあげて泣く拍子に、また少し傷をつけてしまった・・。 血が滲んだ比呂の口元。涙をいっぱい目に溜めた比呂が、俺を見て ・・笑わないのね。全然笑わないんだ。謝ってばっかなんだ。 俺もうね・・こらえ切れなくてね・・比呂の服を手の届く範囲で脱がしてね・・ あいつの鎖骨に顔を埋めた。 理由がわかんない。弱気になっているのは確かだ。でも気分的に漠然と落ちてるのか なんか一個の問題に、悩んでいるのかそれはわからない。 とりあえず比呂の胸板を、役立たずな俺の頬が求めていた。 俺は顔の位置をずらして、比呂の乳首を軽く吸って、その後胸板に頬を摺り寄せた。 彼の鼓動は力強い。いつもはそれが俺を安心させる。でも今日は、まるで逆だ。 目の前の辛そうな比呂は、現実世界の比呂そのもので 励ます手立てが何も浮かばない、ろくでなしの俺も現実で 悲しそうな比呂に貸してあげられるような、たくましい胸も抱き寄せる腕もない みっともなく華奢な自分が悲しかった。 少しの間、俺を抱きしめていた比呂が、俺のつむじにキスして 俺の前髪をかきあげてデコにキスをして、目じりにキスをして、唇を舌でたどり 耳たぶを口に含んで、ピアスを舌先で転がし、そのまま首筋を辿って そしてまた唇に吸い付いた。 俺はジーンズはいたままの比呂の腰に手を回して、自分の腰を比呂に押し付けて 比呂より早く舌を絡めた。そこでやっと比呂の息が乱れ始める。 比呂が自分のジーンズのベルトゆるめて、ボタンを外し、ジッパーをおろし 硬くなったそれを俺のやはり硬くなったその部分に押し付ける。 ・・舐めたいって本能的に思って、俺は嫌がられるまえに、上体を起こして それを口に含んで、夢中で舌を動かした。 大きくて顎がはずれそう。でも興奮した。すっごい。 比呂が、『んっ・・・』って甘い声をあげて、俺の髪をかき乱す。 ほんというと・・・比呂の悲しい顔をみて、勃起してる自分が許せなかったんだ。 比呂は俺がセックスの途中で泣きじゃくった時、途中で止めて話し合ってくれた・・ 比呂の性格も大好きだけど、顔だって大好きで・・ 大好きな比呂が寂しそうな顔してるのみて、勃っちゃったの・・。 その顔がすごくかっこよかったから。 されたくて・・・、メチャクチャにされたかった。 心配よりも自分の欲望が先に出て止められなかったんだ。 口の端からよだれとかでて、すっげぐちゃぐちゃになっちゃって、 泣けてくるし、俺、フェラ下手だし・・俺がフェラしてんのに自分が出ちゃいそうだし すげえ情けなくてさ・・・そしたら比呂が強引に、俺の口をそこから離したの。 すっげえ、はあはあしてさ・・息乱しててさ・・ そんな比呂、あんま見たこと無いんだけどさ・・・ 『出そう・・・。顔にかけたい。』って言われた。 すげえエロイことばじゃんね、それ。でも俺。すっごいキュンときたの。 俺、咥えるのやめて、舐めながら手を動かした。 比呂はすごく気持ちよさそうな顔ではあはあ言ってて すこししたとき、俺の頭をベッドに押し付けた。それで自分で握って手を動かして 俺の顔に、ぶっかけたんだ・・・。 かけられて、俺もすげえ興奮して・・・なんか・・・そんだけでイっちゃって・・・ 情けなくてまた泣けて、男失格とか思って・・すげえ泣けちゃってさ・・・ そしたら比呂が、息乱したまま、俺の涙と・・ついた精液を 手首の内側で拭ってくれてね、体中にキスをして、そんで挿れてきて ゆっくりゆっくり腰を動かした。 唇を重ねたまま、互いの名前を囁きあって、腰の動きを少しずつ早めて 比呂がそのうちに、角度をかえて突き動かしてきて、俺の頭のストッパーが取れて 喘ぎ声すらかすれて出なくなった。 ただ、涙だけは、ずっと止まらなかった・・・。 なんど出したかわかんない。ベッドの上はぐちゃぐちゃだった。 比呂はちゃんとつけてくれてたから、多分それ、全部俺の精液だ。 こんなに出して・・・死なないのか俺・・・。 もう全てが涙腺を刺激して、泣きすぎてほんと、俺死ぬかと思ったよ・・・。 比呂も何度もイッて・・やっぱ比呂は俺を抱く方だから 俺の数倍疲れたんだろうね。寝ちゃったんだ。ぐったりと。 髪が汗で濡れてる。髪を指で梳いて、唇をそっと重ねた。 『どうしたの?』 すっかり寝ている比呂にそれを聞く俺の臆病者。 返事なんかあるわけがない。返事されたって受け止められない。 甘い痛みの残る体を起こして、シャワーを浴び、15分以内と決めて、 眠る比呂を残して買い物に行った。 家に戻っても比呂は眠っていて、俺はとりあえず安心する。 毎度このパターンで芸がないけど、シチューを作った。 鍋に入りきらないくらい愛だけはこめて。 シチューよそって、買って来たパン温めて、ファンタを入れて 台所を出て、階段をあがる。比呂を起こす為に。 でもね、階段あがりきったとき、比呂の部屋のドアが開いたんだ。 すごい悲しそうな顔した比呂が、下だけジーンズはいて部屋から出てくるとこだった。 見つめあった俺たち。比呂の目から涙が出た。 『・・お前が・・いなくなったと思って・・・・・。』 ごめんね・・おれ・・。昨日お前に・・へんなこと思い出させちゃったから・・・。 音楽話きっかけにして、お前の子供の頃の辛い記憶を、引っ張り出してしまった・・・。 シチューの野菜を煮込みながら、ずっと考えてて、昨日の事、思い出したんだ。 子供の頃、大人が誰もいなくなった家の中、一人の留守番のときのこと。 大人の声がききたくて、CD聴いてた子供の頃の比呂。 なあ、今ならわかるだろ?言葉の意味もなにもかも。 左手で目頭押さえて右手はだらんとたらし、立ったまま泣く比呂を 抱きしめて、俺は何ども『大好きだよ。愛してるよ。』といった。 比呂は、うなずいてくれたけど、しばらく全然泣き止まなかった。 階段おりて、台所につれていく。明るいキッチン、思わず目を細める。 テーブルの上のシチューは少し冷めていたけど、いい匂いがして腹が鳴った。 比呂がぼんやりとそれを見つめる。 『みて、手料理。お前の為に作った。食おうよ。』 俺は比呂を席につかせる。 ゆっくり視線を落とした比呂が、いきなりふふってわらったんだ。 ああ・・・・。比呂の笑顔だ。 比呂は、笑った後俺を見た。『ファンタかよ。』比呂のいった一言。 その声の明るさが心にまぶしくて、口をヘノ字にして俺は泣いた。 比呂が俺をだきしめて、頭を撫でてくれたんだよ。 シチュー食って、パンもうまくて、食器片付けて、風呂に一緒に入った。 比呂は、なんか、まだ100ぱーじゃないけど、50ぱーくらいは普通に戻ってて 『すっげーごめんな。顔射とか・・。一生反省する。』とかいって、俺に謝る。 俺はクスクス笑いながら、『そんなのいいよ。』っていって、あの時咥えた比呂のそれが すげえ硬くて大きくて、そんなヤましいことを思い出してしまって、 湯の中で思い切り勃っちゃって、それに気がついた比呂が、俺を湯船に座らせて、 フェラしてくれた。すごく気持ちよくて。格の違い見せ付けられた・・・。 早く出ちゃって、また飲ませちゃった・・・。 俺のをフェラしてたら、比呂のが勃っちゃって、なんかコントみたくておかしかったけど、 キスしながら2人でそれをいっぺんに握って、めちゃくちゃハアハアしながら 手を動かして一緒にイった。濡れた髪と、乱れた呼吸・・・。 何度出したって、なんどもたっちゃうよね・・・。 気持ちふらふらになって風呂を出て、ぐちゃぐちゃになってるベッドのシーツを外して 風呂のシャワーで洗い流したあと洗濯機を回す。 明日は学校があるから、俺はそこで帰ることになった。 『大丈夫?』 『なにが?』 『・・・・・。』 『昨日もそんなこと言ってたよね。』 『・・・・比呂・・・。』 ぐっときて・・比呂を抱きしめたくなった。でも手を出すタイミングがわからない。 比呂が俺の手を握る。あれだけセックスしまくったのに、手を握るの。すげえ・・そっとね。 指一本まで優しさをすり込むように俺の手をさすって、 うつむいてたから前髪で、目元は見えなかったけど・・・・ 『・・・ありがとう。ほんとうれしかった・・・。朝からなんか・・俺も俺がわかんなくて 困ってたんだ・・・那央がいてくれてよかった・・・・。』 『・・・・』 『ごめん・・最近、ヤりすぎで・・・・。なんか・・ガマンできなくて・・・。』 もうすぐ付き合って一年になるのに、『ガマン』とかいってる比呂がすごくかわいい。 俺は黙って比呂を笑顔で見つめた。 比呂は、そんな俺に微笑み返してくれた。 家に帰って、すげえ静かな俺の部屋。 家族は相変わらずうるさいし、兄ちゃんの部屋からはDVDかなんかの声が聞こえてくるし でも、比呂の声はきこえてこねえの。あのかわいい寝息も喘ぎ声も 何一つ聞こえてこないの。悲しくなっちゃってさ・・・・。 こんなに互いを必要としてんのに、一緒にいられないんだから、すげえやっぱ悲しくてさ・・・・。 明日、早めに学校いって、げた箱で比呂を待とうかな。 比呂は笑ってくれるかな・・・。 会いたいな・・・・比呂に。 2007/12/02(日) 23:56:07 |
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