雪のこと。

今日は静岡は、さっむくて、すげえ冷たい雨がふっていた。
比呂にあったんだけど、あまり元気なくって。

飯が美味いので有名なラブホにいって。
フリータイムとかいうから10時から夕方5時まですっごいのんびりとしちゃった。
比呂はさ・・雨があまり好きじゃないみたいなんだよね。
濡れるのが嫌ってわけじゃないんだろうけど、雨が降ると少し口数が減る。
学校で、授業中に、しとしとと雨が降ってくると
そのあとの休み時間に必ず麦が、比呂のとこにくるの。様子みに。

麦は俺の知らない比呂のなにかを、知ってるのかなーとかおもうけど・・
それを嫉妬するつもりはない。・・だって麦だもん・・・。ね・・。

ラブホに入ってすぐに、風呂にはいろうって言って泡風呂にして盛り上がってさ。
比呂が元気でたー!!って、うれしくなってさ。
比呂が俺の体にちゅうするんだけど、泡が口にはいったり目に入ったりして
もうねー、エッチな感じというより、きゃっきゃ笑ってはしゃぎまくってしまった。

ただでさえテンションあがるじゃん。比呂がいるから。
それが裸なんだぜ!二の腕とか手首が最高なんだぜ!

指輪もはめてくれててね。
風呂でてから2人でベッドに寝転んでさー・・比呂が俺の隣に寝そべって
安らか〜な顔してるから、俺、比呂の左手の指を一本一本触って遊んだの。
薬指にちゃんとリングがはまってて、うれしくって、比呂を見て笑ったら
濡れた前髪の向こうで比呂が、にこっと笑ってくれて・・俺、抱きついた。

そんで目を閉じる。あとは、比呂に体全部預けた。

俺の両耳を触りながら、くちびるにちゅってする比呂。俺は、両耳を触られて体中敏感になる。
比呂の両手首をつかんで、比呂の舌を吸った。
比呂の手が俺の耳から離れたとおもうと、頬を両手でつつんで俺の口内に深く舌を這わせる。

あー・・もうだめ。ちから、はいんない。俺は、ベッドにぱたんと、両手を投げ出した。
比呂の前髪が、黒くてかっこいいー。投げ出した両手は、シーツを掴む。
やば・・。比呂の手が、俺の体を撫でていく。

ゆっくりと、でも、時々強く、揉みしだかれる俺のぺたんこの胸。
俺の口から比呂の口が離れたとおもったら、乳首を甘噛みされた。
そんで舌で刺激される。だんだん俺・・息の仕方がわからなくなってく。

はっ・・はっ・・って、いう呼吸のあいまに、喘ぎ声が混ざり始めて
シーツを離し、両手で比呂のに触れたら、すっごい硬いから両手で握った。

手を上下させて、比呂の首筋を舐めた。
比呂のあれを舐めてる気分になって、比呂の首筋に舌を這わせた
そしたら、めちゃくちゃ興奮しちゃって・・ふぇらしたいなーって、すっげえおもったんだけど・・・・
でも比呂の手が、俺のをにぎったら、俺なんかもう、全部いいなり状態なのね。
快楽に支配された!みたいなかんじで・・ね。

比呂は片手で俺の内股を擦りながら、口ではキスを繰り返して
空いてるほうの手で俺のを握って、親指でぐっと刺激すんの。
やべ・・。思い出しただけで、でちゃいそう。
肩がビクッと震えて、足をばたつかせて、意識を逸らすんだけど、
そしたら比呂、めちゃくちゃゆっくりと、強弱つけて俺のを握って動かすのね。
・・案の定でちゃった・・・。

俺の精液を、つながる部分につけて、指を出し入れする比呂。
快感に集中したいから、うつ伏せになって枕を抱え込んだ。
俺の背筋に舌を這わせて、そのままうなじに、キスをする。
髪に隠れる部分にいっぱい、キスマークつけられちゃった・・。

でね。
両肘をベッドについて、よつんばいになってたんだけど、
比呂が俺の両腕をさ、抱え込んじゃったから、俺、シーツに顔を
押し付けられる感じになったの。
そしたらさ、比呂が俺の背中に、ぐーっとのってきて、
んで、ぐぷって、あれを入れてきたんだ。
もー・・俺さ・・・挿れられただけでイった・・・。最悪・・・・。

イったところで、比呂はもうやめない。
ゆっくりと挿出を繰り返しながら、すっごい熱い息を俺のうなじに吐く。
両手を比呂に抱え込まれて、快感を逃す手立てがない。
シーツと比呂にはさまれた俺は、心地よい圧迫感と
容赦ない快楽においつめられて、挿れられるたびに吐精をして、
泣きながら比呂の名前をつぶやいた。


足ががくがくするくらいセックスをして、その後ぐたーっとベッドに寝転んだ。
『エッチ好き?』汗ばんだ比呂の前髪を指で整えながら俺は聞く。
『・・うん。』そういって、はあ・・・・と溜め息ついて笑う比呂。かわいかったから、キスをした。
俺等は、わざと歯がぶつかるような、ぎこちないキスをして幸せな気分に浸る。

キスをしながら、比呂にいった。『ねえ・・、比呂はあまり雨が好きじゃないよね。』
・・キスが止まる。俺は見つめた。比呂が目をそらした。
いっちゃいけないこと言ったような気分になった。

『・・・ごめん・・・。変なこといっちゃった?』
露骨に落ち込んだ顔して比呂に言う俺の卑怯者。
比呂は、にこっと笑ってくれた。
『好きじゃないよ。でも、雨より雪のほうが苦手。』


そのあと・・何を話したのか忘れるくらい、その内容は俺にとって衝撃的なものだった。
とにかく気がついたら、隣に比呂が寝ていて、その顔が愛しくて何度も頬にキスをしたんだ。
雨よりも雪が苦手・・そういった比呂は、そのまま話を続けてくれた。
音羽さんが亡くなった時の悲しくて苦しい思い出を。

『・・おっくんが・・死んだのが、その年初めての雪が降ったときで。』
『・・・・。』
『その日は・・すっごい久しぶりに美容院休みで家にいてさ。』
『・・・・・。』
『俺が学校から帰ったら・・ボーリングに連れて行ってくって約束してくれて・・
そんで・・学校にいく支度がちょっと遅くなった俺をさ・・車で送っていくって言って
一緒に靴はいて玄関のドアを、おっくんがあけたらさ・・・。 』
『・・・・・・。』
『雪が空から舞ってきて・・・それを見ておっくんが、倒れたんだ。』
『・・・・。』

比呂の話を止めたい俺。このまま話したら、また比呂が変になる。でも、言葉が全然でなかった。
俺の手を握る比呂の手が、とてもあたたかかったから。

・・・・ああ・・比呂は・・俺に、言おうとしてくれてるんだ。
俺は比呂の手をぎゅっと握り返す。聞こう。ちゃんと。まっすぐに比呂の言葉を聞こう。
比呂が泣いてしまっても、俺にはこの両腕がある。

抱きしめてあげればいいんだ。

『・・・俺、それからはもう・・空からなんかが降ってくるのが嫌なのね。
・・だから、ほんというと、桜も嫌い。ああいう風に落ちてくるものが、すごい苦手なんだ。』
『・・・・・。』
『・・流れ星は、地面に落ちる前に消えるじゃん。だから別にいいの。 』
『・・・・。』
『でも、雨はなんか嫌だね。特に寒い日の雨は駄目だね・・・。』
『・・・・・。』
『っていっても、雨のたびに悲しい思いしてるわけじゃないけどね。』
『・・・・え?』

平気な日もあるのかなっておもった。でもちがった。

『だって、死んで一番つらかったのは、俺じゃなくっておっ君自身だからさ。』

・・・・一番つらいのは俺じゃない。一番辛いのは音羽くんだ。
だから、俺の悲しみなんか、悲しみのうちに入らない。
悲しい・・なんて、言っちゃいけないような気がする。だから、『悲しくない日』もある。
でも、そういう気持ちを差し引いても、どうしてもつらいときがある

だから、比呂の雨の日の心理状況は、比呂自身に『時々悲しい程度』と表現されるらしい。


比呂・・・・・。

心の中の自分の声にまで、ガマンをさせたりしないでいいよ・・・・。


比呂が眠りにつくまえに、こんなことを俺にいった。
『冬は・・雪が降るかもしれない季節だから・・すごく疲れる・・・。』って。
『去年の冬は・・那央がいて嬉しかった。』って・・・。
『ありがとう・・・・。』って・・・・。


そのまま、すうって眠っちゃった比呂をみたら、なんか死んじゃったように見えて
悲しくなって、いそいで、だきついて、比呂の名前を呼んだんだ。
そしたら目が開いて、『・・・・どし・・・た?』っていって、俺を撫でてくれて、
ギュッと抱きしめてくれた。

俺は、安心して『ごめんね』っていう。
比呂は、ふふっとわらって『・・・余計な事いった俺が悪い・・・。ちょっと寝るね・・。 』とかいう。

俺は今度は必死にガマンして、比呂の寝息が聞こえてきてから、枕に顔を埋めて
ベッドのすみで思いっきり泣いた。

俺は・・比呂が死んじゃったんじゃないかとおもっただけで、酷く悲しくなった。
実際ぜんぜん比呂は元気だけど、それでもすっごくつらくなった。
だけど、比呂が音羽さんを失ったとき。その一瞬で。音羽さんの人生は終わってしまった。
そんなの誰も受け入れられない。・・・・なんで比呂ばっかり・・こんな悲しいの?

お父さんが4人ってだけで、じゅうぶん。お母さんに愛されなかったってだけでじゅうぶんじゃん。
食べ物が家に無くて、果物味の薬を食べて、死にかけたとか・・そんなんでもう、じゅうぶんだよ。
比呂一人に、どんだけ苦しい重荷を背おわせば気がすむんだよ。
・・・・俺にも平等に苦しみをくれよ・・・。比呂にこれ以上、重荷をのせないでくれ。
比呂は頑張れちゃう子だから、全部背負ってしまうよ。


雪なんて・・・とても綺麗なものなのに・・・・


俺、落ち込んだまま、比呂の隣で眠った。
あんなに色々悩んでたのに、ぐっすり眠ってしまったようで起きたときには比呂が下だけはいていて
テーブルの上にいっぱい料理が並んでいた。比呂が頼んでくれたみたいだ。

『食い物センサー、すげえな、おまえ。』比呂にいわれて、ムキーっと怒る俺。
どんな顔して起きたらいいのか、全然わからなかったから、きっかけ作ってもらえてたすかった。

俺はそのまま、ちゃっかり比呂の膝の上に座り飯を食った。むしゃむしゃと。
涙が溢れたけど、無言でくった。
比呂からは俺の顔なんか見えないっておもったのに、
後ろから手が伸びてきて、比呂が俺の涙を拭ってくれた。
振り返ったら、比呂が俺をみてたんだ。

抱きしめあって、口づけをした。

言わないことで、バランスを保つ方法をとってきた比呂の
心を暴くことが果たして、彼にとってプラスなのかわからない。

でも俺は、ひとつでも、多く比呂をしっていきたい。
情けないことに、彼を救うために・・というよりは
単純に大好きな人のことを、一つでも知っておきたいという理由からだ。

俺は非力だもん・・・。大きな口をたたきたいけど・・・結局なにもできやしない。
比呂のほうが泣きたいんだろうに、涙を拭ってもらうのはいつも俺だし。
涙拭いてもらえて幸せ?とかおもってるほど、救いようないの。

そんな俺を放っておけないでしょ?
だから、いつでもずっと、一緒にいてよ比呂。
いつでも・・・・っていうか、いつまでも。

めそめそ泣く俺を、ほんっと優しい顔で微笑みながら見守ってくれる比呂。
俺のこの駄目駄目さが、比呂をひきつけられるんなら
一生駄目駄目な俺でいます。

結婚してください。責任とってください。









2008/01/12(土) 23:45:40
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