今日も一日が終わる


ただいま。比呂は元気になった。おじちゃんたちは、明日帰ってくるらしい。
今夜は比呂は、あの家に一人だ。

こんなに寒いのに、悲しい。

昨日と今日、比呂はバイトを休んだんだ。
いつもじゃ無理して仕事するんだけど、きっと無理がきかなかったんだと思う。
みんなといる時は、あんなに色々な話をして、笑わせてくれる比呂。
でも、俺と2人きりの時は、最近ほんとに口数少ない。
俺が落ち込んでいるときとかは、めちゃくちゃわらかす話してくれるんだけど、
昨日と今日は、黙ってることが多かった。

そんな比呂の髪を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じるんだ。

悲しいね。比呂。一秒一秒、確実に時は過ぎる。
寒い季節は、一人じゃ凍えるから、出来るだけ二人で寄り添いたいね。

夜明けが遅くて、なかなか明けない空。
そのくせ夜が来るのは早くって、あっという間に空が暗くなる。
別の場所に住んでいることが、こんなに寂しいことだなんてね。

ああ、もったいないなあ。今日も終わっちゃう。昨日はすっごい最高だったよ。
俺は比呂の部屋で、ずっと比呂を見ていられた。
寝ている比呂を見ながら、タンスの中味を引っ張り出して
服から何から全部比呂のものを身に着けて
比呂の一部になった気がして、うきうきして、うたた寝をした。

でも、そのあと比呂とエッチして、ああやっぱ、俺等は別物なんだなって
そんな風に思った。比呂の体と俺の体、心同士、全部別物だなあって思った。

比呂の事ばかり考えていると、比呂になった気分になる時があるのね。
比呂になれたら、最高に幸せかなーと思ったけど、
でも俺は、やっぱり、俺として、比呂にスキになってもらえるほうがきっと幸せなんだと思う。
沢山いる他人の群れの中から、俺だけを選んで比呂が大事にしてくれるのって
やっぱりすごく幸せなことだと思うし
ずるくて弱虫な俺が比呂に溶け込んだら、比呂はにごってしまうような気がするの。

比呂は比呂だからかっこいいんだ。
愛する人と、『別モノである』ことって、とても大事なことなのかもしれない。

意味わかんないね。

暇さえあると、比呂の事ばっか考えて、深いとこまで思いつめちゃうのが悪い癖。
好きになりすぎたら、比呂の負担になる。それもわかってるんだけどなおせない。
比呂は、そんな俺を、ひょいっとかかえて、ベッドの乗せて、裸にしてくれて
キスしくれて、愛撫してくれて、挿れてくれて、毛布をかけてくれる。
好きな人にかけてもらった毛布は、自分でかけた毛布よりも
ずっとずっと、あったかいね。


一人で眠るベッドは冷たいよ。比呂。





2008/01/20(日) 22:55:15
NEXT