ただいまヘブンリー 5時過ぎから遊んで、8時には家に帰った。 なんて健全なっ(しくしくだって比呂が、最近遅くまで遊んじゃうからたまには早めに帰ったほうがいいって・・・。 『嫌いになったのかよ!』って文句言ったら『大切だから、考えたの。俺も。』って言われた。 それだけで、安心しちゃって・・うん。3時間弱。目いっぱい比呂に甘えてきたよ。 比呂に『大切』っていってもらえたのが嬉しくって、常に顔がにやけた状態でゲーセンに到着。 そこで俺の大好きな〈36キノコ菌〉というキャラクターのクレーンゲームを比呂にやってもらう。 比呂はクレーンゲームが超うまいの。3回やって、目当てのグッズを2つともゲットしてくれた。 そのうち一つは、全長30センチくらいの人形でさ。どーしてもどーしてもほしかったから、すっごいうれしかった。 『那央・・・・。』 『なに?』 『今から遊ぶのにお前・・・そいつ(人形)どうすんの? 』 比呂が俺にそんなこというの。 『大丈夫だよ。比呂のバッグにはいるから。』 俺はそういって、比呂のトートバッグに、人形を無理やり詰め込んだ。 そのトートバッグは、前に比呂が部屋でネットしてるときに気に入って買ったものなんだけど。 俺ね、比呂がパソコン見てるとき、比呂の膝の上に座って一緒に画面眺めてたんだー。 『あ・・これかわいい・・。』って比呂が言うから、俺もみてみたら、なかなかシンプルで色が綺麗でさ。 『うん。比呂っぽいよ。』っていったら、比呂が『じゃあ、かおー・・・。』って、買ったんだよ。 トートで7000円って、たかくね?とか思ったけど、実際届いたら超かわいいの。しかもイイヤツって感じで。 今までリュックばっかだった比呂は、最近トートとか、他のタイプのバッグに 凝りだしたみたい。リュックは高いし、ガサがあるからねー。 そんなサイコーなトートバッグから、チラリとはみでる人形がすげえかわいくて、ウキウキした。 比呂はメチャクチャ嫌そうだったけど。で、飯を食いにいった。 悩んだんだけど、あんま時間ないし、だから久々にサニーバーガー。 そしたら学校のヤツがバイトしてたんだ。俺は話したことないんだけど 比呂は面識あるみたいで、注文する時、すげえケラケラ笑ってた。 飯食いながら、小沢夫妻の話しになる。 『ねえ・・比呂ー。』 『んー?』 『あのあとさー、俺、小沢たちと一緒に、ちゃーしにいったのさー。』 『おー。』 『で、比呂の話題になってさー。』 『えー?』 『彼女が比呂のことかっこいいってさー。』 『ふーん。』 『そしたら小沢がさー。』 『おー。』 『じゃあ俺のことはかっこよくねえの?とかいって。』 『ふふっ。』 『夫婦ゲンカになるかとおもったら、彼女がへへって笑って、それで終わった。』 『なんだそりゃー。』 なんかね。なんか、すっごいあったかいやりとりだったの。 小沢が彼女の事をね、比呂が俺を見るような感じの目で優しく優しくみていてね。 あー、愛し合ってるなーって思ったの。いいなーって・・。 俺が、笑いながらうつむいてたら、比呂が俺に声をかけてきた。 『那央、また甘いものとか食ったの?』『ん?・・・あ、うん。』 『何くった?』『ケーキ。』 『どういう?』『苺の。』 『へー。うまかった?』『うん、超うまかった。』 『そうかー。』『うんっ!』 ・・・・。 やば。 俺の心、すげえあったまった、今。そう感じた。 スキとか愛してるとか、その類の単語、いっこもなかったのに なんか・・あたたまっちゃった。 こんななんてことのないことが、比呂との会話の話題になっちゃうなんて。 そういえば・・特別何かなくても・・・俺たちは、 会話するための話題選びに困ったことってないや。 会って楽しかった次の日には、楽しかった思い出の話をして なかなか会えない時とかは、『なにしてた?』って聞いてみたりして 大好きだから、知りたくて、知りたいから、俺はきいて 比呂も・・同じ理由で、俺と話してくれてたらいいな。 でも、おデートに誘ってくれるのは、大体比呂のほうだから・・・ きっと同じ理由だよね。 サニーバーガーでまったりしすぎて、気がついたら7時近くて 店を出て近くの公園をあるいた。だって行き先が思いつかない。 あと一時間だ、どうしよう!!って焦ってたら、比呂がそんな俺を見て笑う。 『おちつけ。』そういうと比呂は俺の頭を撫でる。頬を撫でる。ちゅっとする。 魔法みたいに落ち着いた俺の心はやっぱりあたたかかった。 人気がないから手を繋いだ。俺はマフラーに顔を埋めながら比呂に手をひかれてゆっくり歩く。 『そういえばさー、こないだヒノエに漫画かしてやったんだけどー。』 『うん。』 『那央、読んだことあるっけか。岡田あーみんってひとの。』 『え?』 『こいつら100パーセント伝説。』 『なにそれ。』 『去年の暮れに部屋片付けてたらさー、出てきたんだよ、その本が。』 『うん。』 『一年のときにさ、初めて買って読んだんだけど、おっもしれえの。読む?』 『うん。いいの?』 『いいよ。』 『やった!』 『じゃ、ヒノエのあと、お前な。』 『うん。』 へへ・・・。どんなマンガかなー。 『ねえ比呂ー。』 『んー?』 『こないだ浅井と話したよ。』 『へえー。どんな?』 『うん。広島弁の話しとー。』 『ふふっ』 『あとは、浅井の友達の話。』 『へー。』 『たのしかった。』 『そうかー。あいつの広島のツレ、変わったやつ多いからなー。』 『そうだねー。』 ・・・比呂の手をぎゅっと握る。 浅井との話題にのぼった友達ってのは比呂のことだよ。でも内緒にしとくね。なんとなく・・・。うん。 浅井は毎日、比呂のことが心配なんだって。頑張りすぎてないかーとか、思うんだって。 だから俺、浅井に愚痴ったの。 『頑張りすぎて、たまに疲れちゃうみたい。自分で加減が出来ないんだよ。』って。 『俺、頼りないのかな。なんか、比呂ばっか頑張ってる気がする。』って。 浅井は俺を励ましてくれた。 『ただ闇雲に頑張ることと、大切な人のために頑張ることは、まったく別物だから』って。 『比呂は、どうしたって頑張っちゃうヤツなんだからさ。むしろ ユッキーのために頑張れるなら、比呂にとっては幸せなことだと思うよ。』って。 俺、てれくさくて、『俺にそんな価値あるのかなー・・。』っていったの。浅井に。 そしたら浅井は、『そりゃ俺にはわからないけどー・・。』っていうの。でね。 『でも、比呂にしかわからない価値があると思うよ。あいつはあまりそういう話をしないけど。 でも、ユッキー元気?っていうと、あたりまえのように比呂はいつも、元気だよ。っていって笑うのね。それが全てなんじゃないのかなー。俺らから見たら、2人でいるのがあたりまえだもん。』 だって・・・。わ・・。そんな風に見られてるんだ。 そのこと思い出しながら、比呂の手を握って歩いた。 比呂の話題は、いつの間にか、広島弁についての話になってた。 俺はそういうさもないことを、すっごいぽかぽかな心できいていた。 声が聞こえてくるのは耳。でも比呂の声を受け止めているのは体全部。 振動を体中で受け止めて、そして心で吸収する。 しみこむなー。幸せは。 俺の体の中に汚れた血液なんて一滴もないですって感じだよ。 家に帰ってすぐに比呂にメールした <今日はありがとう、おやすみ。 そしたらすぐ返事が来た。 <お前、きのこ人形、持ってき忘れたろ。明日学校持ってく。 <今度またゆっくり会おうー。おやすみ。サンキュー。 ・・・・あ・・。キノコ菌。 今夜一晩、比呂のそばで、たっぷり幸せを吸収して そして明日、俺の手元に届いてください。人形さん。 風呂にはいって、歯も磨いた。道具も揃えたし、あとは眠るだけだ。 小沢にメールでもしようかな。 楽しい一日だった。ピース! 2008/01/27(日) 22:49:00 |
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