*** 2008/3/2 (Sun.) 15:41:15

バカ比呂が全然元気ないから、バイト先にいって、昼飯に誘った。
昼休憩が2時からだとかいうから腹ゲキ減りで定食屋に入る。

『露骨に落ち込むなよ。』『・・うっせーよ。』
『・・復縁すりゃいいだろ。』『・・お前にカンケーねーだろ。』

店のオヤジに注文する。俺はカツ丼、比呂は山菜うどん。

『ガッツリいけよー。カツカレーもあるのに。』
『・・そんなに食えねーよ、俺、胃炎だし。』
『・・・・病院いったのか? 』
『ああ。昨夜。お前の母ちゃんに会ったよ。』
『は?おふくろそんな事いってなかったけど。』
『・・・でも会った。帰ったら聞いてみ。よろしくいっといて。』
『ああ。』

・・・・・それにしても、この反抗的なような素直なような態度。
まったくかわいくて仕方がない。目じり赤い。見ててつらい。

『ユッキーちゃんを許してあげな。』
『は?別に許すもクソもねえんだけど。』
『浮気に腹立てて離婚したんだろ?』
『・・・なんでそうなるんだよ。』
『・・・・ちがうのか? 』
『ちげえよ。』

・・・・・。

俺は溜息をつく。飯がきた。

『比呂ー・・。』
『・・・・。』
『辛いならよー、やりなおせよー。』
『・・・。』
『相手のためを思っての事だって、お互いが辛きゃ意味がねえんだよ。
いつもお前が、そういってるじゃねえか。なんで自分の時には、そう思えないんだよ。』
『・・・・・。』
『幸村が悪いんだけどさ、ならもっとぶつかっていけばいいだろう。
お前はもっと、文句言ったっていいんだよ?』
『・・・・・俺だって・・・』
『・・・は?』

箸を置いた比呂が頬杖ついて、外を見ながら話し出す。

『俺も、そこまでバカじゃねえよ。されたことがどんなことかとか、そういうのだってわかってるよ。
でも、あの顔見たら駄目なんだよ。一発ぶんなぐってチャラにしたくても、
那央をみちゃうと、そんなことできない。浮気相手が女なら尚更だよ。』
『・・・・。』
『正直、とりかえしたいとかおもった。でも、俺、那央をとられたわけじゃないんだ。
那央が勝手に女の子に手を出しただけじゃん。
他人が敵なら戦えるけど、那央じゃ敵にならねえよ。』
『・・・・・。』
『俺はふわふわでもなんでもねえの。』
『なんだそりゃ。』


比呂が俺を睨んでいう。


『なんでもねえよ。』



あんまりにも不機嫌な比呂。このまま幸村ネタひっぱると、こいつ死んじまうんじゃねえかと思って
バンプの話をふってみたら、それなりに普通に会話が続く。

基央ってよみかたが『きお』だとおもってて、それもスゲエかっこいいと思ってたんだけど
でもやっぱ、もとおって呼び方が一番かっきーなーとか・・そんなことを、あいつ
一人でべらべら喋ってさ・・話が途切れたら涙ぐむんだ。

かわいそうに。

なくした恋は、そんなにお前にとって大事なものだったのか。
頭を撫でてやったら、比呂はついに涙をボロッと流した。
悔し泣きするくらいなら、四の五のいわずにやりなおせ。ばーか。
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