おれもそうありたい。 ただいま。すごく楽しかったよ。 俺が生徒会長になったお祝いを、友達がしてくれた。 俺と比呂と麦と坂口と小沢とおぎやんと、なんでかヒノエもきた。 携帯のテレビ電話で、久々に浅井とも話したんだー。 『会いたいよー!!!』ってぐずったら、『俺もだよ〜。』っていってくれたよ。 広島いって、抱きつきたい。浅井を死ぬほどわらかしたいよ。 一応名目は、俺のためのお祝い会なんだけど とにかくみんな、自分勝手に喋り散らかして、俺とおぎやんと小沢は ひたすら笑うだけ・・・。腹筋痛いもん・・今も何気にね。 ほんとにバカすぎる。 比呂が話の流れで、『駄目だ・・もう俺は死ぬ・・』とかいったの。 『しぬなー!こんのーー!』って麦が言ったら 『ほ・・・ホームシップ衛・・星・・がくり』っていって、比呂が死んだ(フリをした。) そしたら麦が、うおおおお!とかいってさ、俺も死ぬとかいいだして 『・・て・・テニスの王子様完結・・・がくり』っていって死んだ(フリをした)んだ。 ・・わかりきった展開ではあるのだが、ヒノエがそれに過剰反応をして 『常勝立海!』って言いながら死んだの。 ・・・坂口ついていけなくて(爆笑)ルーベンスの絵もねえっつーのに、『ネーロー!!』とかいって、 麦にすがり付いて大騒ぎしていました。どうしようもないですね。はい。 そのあとも、ゴミの分別がどうだこうだいって、温暖化の話をしだして そういうのを遠目に聞きながら、俺と小沢とおぎやんで話をした。 『ねえ。ユッキーっち、ここんとこ別れてたのしってた?』小沢がおぎやんにいう。 『あー、やっぱそうだったの。』っておぎやん。『・・・どういう意味? 』聞く俺。 『いやね。比呂がさー・・ちょくちょく俺の店にきてさー イートインでコーヒーのみながら音楽聴いて落ち込んでたから。』 『・・・・そうなんだー。』 そしたら小沢もいいだすの。 『俺もサニマでバイトしてんじゃん?やっぱきたんだよ。比呂が。』 『うん。』 『ちょうどバイトあがりでさ、そのあと店でコーヒー飲んだんだけど。』 『うん。』 『あいかわらず、お前の事、ひとっことも責めてなかった。どんだけ愛してんだよ。』 『・・・・。』 『浮気されたっていう話もなかったしね。徹底してんなーとおもったよ。』 『・・・ありがとう。』 俺は2人にお礼をいった。2人ともきょとんとして『なにが?』という。 俺は、向こうのほうでバタバタ騒いでる4人をみながら、気持ちを伝えた。 『ほんとありがとう・・。俺は、目に見える部分しかわかってないから 俺の知らないとこで比呂が、何を言って、どんな顔してるのかとか 想像もできないのね・・だから、いつも比呂を傷つけちゃうんだ・・。 君らがそういうことをさ、ちゃんと俺に言ってくれるから・・・ 比呂の本当の姿みたいなのを、知っていけるんだと思うのね。』 『・・・・・。』 『・・ゆっきー・・。 』 『おぎやんも、小沢も、俺の事をちゃんとしかってくれるしさ。ほんとありがとう。』 『・・・いえいえ。』 『・・・・・そんなことお前に言われるとおもってもみなかった・・・。』 『ははっ・・でもほんとのことだよ。』 照れくさくって視線を逸らした先で、比呂がけらけらとわらってた。 そしたら俺の視界の中に、麦がひょこっと顔をだして 『こいつ、今日、俺のことをゴミ拾いバサミでつまんだんだよ。怒ってくれよ!保護者!』 っていった。 ・・・もー・・・。さっき比呂、ちゃんと掃除がんばったよっていってたくせに! 『だって、おっきなゴミが落ちてると思ったからー!!』 『なにおーー!!』 『麦ちゃん、新技新技!』 『必殺オータムソング返し!』 『ほっ・・ほそむくん!!』 ・・4人でギャーギャーほんとうるさい。っていうか、ほそむくんって誰だよ。 カラオケ屋のパーティープランで、3時間くらい大いに騒いで 比呂がやりやがった俺の送辞の物まねに、坂口がツボって大変だった。 比呂の記憶力って驚異的だ。先生の司会の真似とかもすごくうまくってさ。 なのに、テストで変な点とったりするんだよねー。不思議。 今日の比呂のはしゃぎっぷりが、すごくうれしかったよ。 帰り道。みんなと別れてから2人で公園にいった。 手を繋いで歩いて、少しだけ話をした。 『・・今日・・たのしかったね・・』 『そう?俺はなんだかあまりに悲惨な・・』 『ははっ・・メンツがそういうかんじだったからね。うるさい組と大人しい組で。』 『それ俺どっち組? 』 ボソッと言う比呂がかわいくて、腕を組んだ。 誰もいないから空間を独占。 ぬくもりは、まだ満たされてないんだ。 比呂が俺の頭に、自分の頭をコテンっとのせてくる。 幸せだなー・・・。俺らまた恋人だ〜・・・。 ゆっくり歩きながら、時々キスをした。ただ触れるだけの、そんなかんじの。 ちゅっとして、へへって笑って・・オデコくっつけて、また歩いて。 じわじわと心の中の氷が溶けていくかんじ。 こんなに俺、凍えていたんだな。どんどん、あったかくなるもん。 俺の体も心もなにもかも。 『那央を・・・』 『・・え?』 『・・お前をー・・幸村って呼んだとき、入学したときの事思い出したよ』 『・・・。』 『お前の名前、読めなくってさー。探すのに一苦労してさ。』 『・・・へへっ。 』 『付き合うなんて、思いもしなかったねー。あの頃。』 『そうだね・・。』 『あんなに愛想の悪かった人が、こんなにかわいくなっちゃうなんて・・。』 『なんだとー!!』 ・・・そうだねー・・。うん。 あんなに軽そうに見えた比呂が、こんなに頼りがいのある男の子だったなんてね。 いつの間にか、背も抜かされて、人としても、きっと全然俺はかなわなくって。 バカやった俺を、許してくれた。・・・許す・・じゃないか・・。見なかったことにしてくれた? 言葉でうるさく怒られなかった俺は、それでもしっかり反省をした。 手を繋いだときも、すごく感じた。 一本一本の指のぬくもり全てが愛しいから、もう浮気は絶対しないっておもったんだ。 言いたいことを俺にちゃんとぶちまけて、そのあとは黙る。 だから俺、手を繋いだりしながら考えた。静かにゆっくり反省ができた。 そばに比呂がいてくれたから・・ちゃんと自分を責めることができた。 『放っておけなかった』とか、そんなのは結局言い逃れだったんだよな。 比呂はね。俺の話の腰を折らないのね。 俺がたとえ、間違ったことをいってても、絶対最後まで話させてくれる。 そのあと、自分の考えを言ってくる。 言い訳がましいことだって、とりあえず最後までちゃんと聞いてくれる。 だから俺も、比呂の言い分はしっかり聞こうという気になれる。 比呂は絶対浮気はしないと思うけど・・ もしなんか、俺らに問題が起こったとき・・・ 俺もそうありたいなとおもう。 あんなに辛い思いは、もう二度としたくないもんね。 ずっとずっと一緒にいたいよ。 一緒に生きていこうね。ありがとう。 2008/03/04(火) 22:56:20 |
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