2008/5/3 (Sat.) 01:03:16 久しぶりに比呂の部屋。 なんだか、すごく殺風景になっていた。 『片付けたの?』ってきいたら 『うん。宝物と必要なもの以外。』と比呂が言う。 クローゼットと、ベッドの下をのぞいたら エロ本が置いてあったとこが、ガランと空き地になっている。 『どーしてまっさきに、そこ見るの。』 俺の後ろに立っていう比呂に 『人妻本。家宝だったじゃんか。どーしたんだよ。』 ときいたら、比呂は一言『捨てた。』といった。 あんなに大事にしてたのに? 『ヤケになって捨てたの?』 『・・・・?』 『すごく大事なものだったんじゃねーの?』 『・・・。』 『それとも、俺がヤキモチばっかやくからか?』 『・・・・。』 『何で捨てたんだよ・・大事なものなんだろっ。お前いつもっ・・・。』 比呂が左手で俺の口を塞いだ。 『エロ本捨てて怒られるの?俺。』 見つめあう俺たち。・・・俺は思わず噴出す。 そうだな・・。なんでおれ、人妻本のためにムキになってんだ? 俺が笑ったら、比呂が手を離して、ベッドに寝転んで、枕に顔を埋めた。 俺は比呂の横に寝転がる。 比呂は、特に反応なしだから、そのまま目を閉じて寝ようと思った。 すると髪を指でもてあそばれる感触。 目を開けたら、比呂の手が俺の髪をすいている。 目があったからキスをした。愛しくて苦しいから抱きしめあった。 恋の苦しみは一人で抱え込むと、本当に本当に辛くって だけど大好きな人と抱きしめあうと、 俺の苦しみと比呂の苦しみが、 お互いの体温に溶けて消えていく気がする。 ちょっと前までは比呂が不安定になると 俺も不安になって、うろたえてばっかだったのに今は大丈夫。 いつの間にか、俺の足腰はとても丈夫になったみたい。 比呂が俺をすがって飛びついてきても、ちゃんと抱きとめられるよ。 比呂の抱えた過去は大きいから、まともに食らったら倒れちゃうかもしれないけど・・ 倒れても、抱きしめた手は絶対離さない。 そして、それが一番大事なことだと俺は思うんだ。 俺達は時間をかけて、ゆっくりゆっくり話をした。 俺は比呂の不安を一つずつ、解消すべく話をした。 その過程で比呂が、元気になって、最後はいつもみたく笑ってくれて 疲れ果てて眠っちゃった。 この顔を、俺だけが見つめる。 満ち溢れた気持ちで、黙って見つめる。 話しても話しても、きっとこの子は まだまだ俺に、苦しみを明かしていない。 比呂はまだ、かわいそうなくらい、自分の苦しみに鈍感だ。 でもこの頃、ちゃんと落ち込んでくれる 俺が帰ることが悲しい・・なんていう。 駆け引きがないから曲がらない気持ち。 俺にはいつもまっすぐ届く。 『帰らないからね。』というと『うん』といって すごく嬉しそうな顔をして笑った比呂 目の前の寝顔もすごく穏やかで 寝息が小さくてとてもかわいいんだ、 俺の事で・・比呂が落ち込んでくれた 俺に会って、比呂が元気になってくれた うれしかった |
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