2008/5/25 (Sun.) 17:06:01

取引先の店に紺野君という男の子がいる。
今、高校三年生で、卒業したら分店の店長になるらしい。

商品を納めに行くたび彼がいて、人懐こい笑顔を見せては
仕事の話と雑談に、快く付き合ってくれた。

今日はオーナーさんがいないので

伝言を2〜3頼んだ後、少しだけ雑談をした。

『紺野くんは、休みのたびに店にいるけど、女はいないのかい。』
『・・・恋人はいますよ。』
『デートは?』
『空いてる時間にしてまーす。』
『・・・今日はこれから?』
『はい。』
『いいねー。わかいもんはー。』
『中上さんだって、まだガンガンでしょー。』
『まあね。っていうか、紺野くんどうすんの?』
『? 』
『横浜、住み込みなんだろ?彼女どうすんの?』

紺野くんは、ふふっとわらうと、少しだけ考えて話を始める。

『俺の好きな人、京都の大学いく予定なんですよ。だからどっちにしても遠距離なんです。』
『・・・京都と横浜かー。遠いねー・・。 』
『・・・はい・・。』
『・・・・。』

紺野くんは、そばにあった花を見て少しだけ口を閉ざしたが
そのあとゆっくりと、いつもの口調で話を続ける。

『悩みましたけど・・でも、今は覚悟できてます。
そばにいられたらうれしいけど、俺も、好きな子も、夢みたいなものは捨てたくなかったし
そうなったら、遠距離は避けられないものになっちゃったから、あとは毎日毎日で・・
なんかあったら考えて解決してくしかないって・・・おもいました。』
『・・・・。』

紺野くんは、私の顔を見て、話す。

『環境が変わったら・・俺もあいつも出会いがあるだろうし
気持ちも変わってくかもしれないですけど・・
でも・・そんなことで・・変わるような気持ちだったら・・
そばにいたって結局は駄目になるものなんだろうし
距離に負けるような気持ちじゃないって、俺は自信持って言えるし・・だから・・大丈夫です。』
『・・・そうかー・・。』
『はい。』
『・・・・結婚とか考えてんの?』
『・・・・はい。』
『・・・・いいねー・・。青春だねー。』
『ははっ。そうですねー。』
『そうかー。紺野くん、夢は花屋さんだったのかー。』


なにげなくそういうと、紺野くんは、ふふっと笑って私にいった。

『や。そうじゃなくって・・・』
『・・・・。』
『・・自分でちゃんと稼げるようになって、早くあいつと結婚したいんです。』
NEXT