日記を受け取る比呂の手指。 あんま会えなかったー・・。 俺は生徒会が忙しくて、比呂は就活担当の先生と面談があって・・ 1〜2個用事があると、休み時間全部潰れちゃったりする。 これが現実だ・・・。休日明けは、このさみしさに体と心が慣れない。 でもね。部活まで会えないかなーって、半分諦めてた時に 『那央っ。』って俺を呼ぶ声がして、振り返ったら実習服姿の比呂がいた。 昼休み残り5分くらい。比呂は午後から実習だって知ってた。 とっくに実習棟にいっちゃってるかと思ってたんだけど 俺に会うために、他のやつらには先にいってもらったんだって。 うれしくて、泣きそうになった。 休日あんなに抱き合ったのに、すぐに足りなくなっちゃうんだもん・・・。 比呂ちゃん比呂ちゃん・・・2人きりでいる時みたいに 甘えた声で比呂の名を呼びたい。 だけど、そんなこと出来ないから・・・俺は黙って比呂を見つめた。 比呂はそんな俺をみて優しく笑うと 『ほら。手、だしな。』と小さな声で言う。 黙って差し出した俺に手に、比呂がのせたのは ちっこいちっこいてんとうむし。 俺は比呂の顔をみた。 比呂は、ふふっと笑って『じゃ、またあとで。』という。 手の上で動くてんとうむしがくすぐったい。 俺は、思わず笑顔になる。 『実習がんばれよー。』と手を振った。 生徒会の会議があったから、途中から部活に参加した。 今度大会があるから、レギュラーの子らはしごかれまくってた。 今日は静岡は暑くって、みんな汗だくで大変そう。 実際部活が終わった後、麦も比呂もみんな体育館の床の上に 座り込んだまま、しばらく動けなかった。 帰り。比呂はバイトがあるから、急いで家に帰んないといけなくて 俺、慌てて日記を渡したら『お!そっか。ありがとう。あとで読む。』といって 比呂がそれを受け取った。 細い指。でも関節が骨ばってて大きな手。 俺を守ってくれてる優しい手。 大雑把な比呂は、交換日記を丁寧に丁寧にバッグにしまった。 ありがとう。 今日も一日幸せだったよ。 2008/05/26(月) 21:45:58 |
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