川上亜樹 生徒会のプリント待ち。 部活に行く途中の比呂を捕まえて日記を渡した。 そしたら比呂がその場で目を通して、そして日記をパタンと閉じて 『昨日はほんとごめんな。』っていった。謝らなくてもいいのに。 『亜樹。お前にちょっかいだしてくんの?』 『うん。たまにね。人をおちょくってくる。』 『転んで泣いたって・・そんなに酷い転びかたしたわけ?』 『いや・・。でもたんこぶは出来たけど。』 比呂は少しだけ考えた後、窓の外に視線をずらして俺に教えてくれた。 『こないだあいつの兄貴の命日だったんだ。』 『・・・・・。』 『おっくんの墓参りのとき、一緒にそいつの墓参りもした。』 『・・え・・?』 『すっごく仲良かったんだ、俺。そいつはリクっていうんだけどね。』 『・・・・・。』 比呂は日記をカバンにしまう。 『亜樹はお兄ちゃんっ子だったから、さみしくて仕方ないんだろうなー・・。』 『・・・・・。』 『リクはいいやつだったから・・・俺もさみしい。つらい。』 『・・・・・・比呂・・。』 聞いたことがあるよ。 比呂が俺をかばって喧嘩して、停学中に入院した時おじちゃんが 色々おしえてくれたもん。 友達が事故で死んで、比呂はしばらく失語症になったって。 バンソコ3枚程度の傷なのに、その子は死んじゃったんだって。 比呂と川で遊ぶ約束をしていて、そこに向かう途中だったそうだ。 ブレーキ音は川で待つ比呂にも聞こえて、比呂がかけつけたとき その友達は、道のど真ん中に倒れていたそうだ。 多分・・・それがリクくんだ。 もしかして・・この時期、比呂がおかしくなっていたのは 雨のせいなんかじゃなくって・・・その記憶のせいだったのかなあ・・・。 『・・・日記さんきゅー。今日はいっぱいかくからな。』 『うんっ。』 『終わったらくるんだろ?部活。』 『いくよ。』 『じゃまたあとで。』 『うん。』 比呂の背中を見送った後、川上亜樹のことを思い出した。 俺は色々なことをまだ全然 わかっていないんだなあとおもった。 2008/06/23(月) 17:41:43 |
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