ただいま。

5時に待ち合わせして、一緒に飯食いにいった。
日記を渡して、比呂がそれを読んでる間に
こないだみつけたパスタ屋にいこうよ!って誘ったら
比呂がちょっと考えた後、『・・俺、和食くいに行きたい。』とかいうの。
だからパスタ屋はまた今度にして・・って感じで、前にいったことある和食屋にいった。

2人で注文して、そのあと色々話した。小沢カップルの話をね、俺がしてたんだけどね
比呂がなんか疲れたような感じに見えたから心配になって
『・・・大丈夫?』っていったら、『ああ、うん。大丈夫だよ。』って言って笑ってくれた。

比呂がこないだ携帯かえたんだけど、ストラップとかつけてないんだ。
だから、俺が選ぶから、つけてくれる?ってきいたら『いいよ。』っていってくれて
選びにいこうとおもったんだけど、つき合わせるのも悪いかなーと思って
『比呂、いきたいとことかあるの?』ってきいたら
『俺は別にない。那央が行きたいとこでいいよ。』っていってくれた。

やさしすぎる。

だから俺、ラブホいいなーとおもって、『ヤりにいく?』っていってみたんだ。
そしたら比呂は『いいけど俺・・寝ちゃうかもしれない。』っていうのね。
いいにきまってんじゃん。二人きりになれるなら俺、寝るでもなんでもいいもん。
そのあとずっとラブホにこもって、一回だけヤって、後は比呂は寝てた。

俺は添い寝して比呂の寝顔を見る。髪を撫でる。かわいいなあ。
だきついて、ぎゅっとしたら、比呂がぼんやり目を開けて俺を見た。
すごく悲しそうな顔をして、ぼんやり俺を見てるから
『どうした?』ってきいたら、『おまえ・・・幸せ? 』なんてきいてくんのね。

・・・・・。

『幸せだよー。俺は比呂と一緒にいるときが一番幸せだよー。』そういって比呂を抱きしめた。
いつもそんなこときいてこないのに。どしたのかなー。変な夢でもみたかな。
そしたら比呂の携帯が鳴って、相手はどうやら麦だったんだけど
『・・大丈夫だよ。・・うん。』とか言ってるから・・やっぱ何かあったのかな?とかおもって

『比呂、なんかあったの?』って聞いてみたら、比呂は静かに笑って首を振る。
『なんもないよ。』そういうと、比呂は俺に携帯を差し出して
『する?浮気チェック。』っていうの。だから俺は『今日はいい。』って笑って言った。
そしたら比呂が、少し黙った後、『お前はしてないよな。』っていうの。

一瞬何を言われてるのかわかんなくて『は?』って言い返しちゃったんだけど
・・きっと浮気の事なんだなって思って、『してないよ!するわけないじゃん!』って答えた。
するわけないじゃん!比呂だけ好きだもんよ。俺はむくれて比呂を見た。

そしたら比呂がベッドに座る俺の隣に腰掛けて、『・・那央。』っていうの。
俺は、黙って比呂のほうを見た。そしたら比呂が話をしだす。

『・・俺は・・・お前がおもってるほど・・・心の広い人間じゃないから・・
塾のあの子と2人で飯食うとか、・・しないでほしい。』
『・・・・・え? 』
『・・もう二度としないで。』
『・・・・なんで?』
『・・・・・。』
『・・・浮気してないよ?ごはんだけだし・・』
『・・・・・。』
『・・・・・怒ってんの?』
『・・・・・。』

俺、不安になっちゃって、どうしていいのかわかんなくて、言葉続かなくなっちゃって
そのまま混乱しちゃって・・・そしたら比呂が背中擦ってくれた。
で、あのかすれた声で話しかけてくれたんだ。

『・・・怒ってないし・・・浮気だとか・・お前に悪気があるだとか・・
そんな風にはおもってないけど、好きな子が他所の女と2人で飯食うとか
そういうのが嫌なんだよ。ほんとにヤなの。
那央を信じてないわけじゃないよ。だけど、俺がそういうのを許せるほど
寛容になれないってことなんだ。
なかなか会ってやれないし、俺・・愛想もないから
付き合っててつまんない思いをさせてるのかもしれないけど・・
それでも・・・やっぱヤなんだ。ごめん。
ヤだから、絶対もう、そのこと2人きりで会うとかやめて。』

・・・・・ひろ・・。

『俺、お前に何度もいったよね。女の話するなって。
ほんとに嫌なんだ、そういうのが。気持ち悪くなるんだ。どうしても。
一回色々あった子じゃん。どう頑張っても、慣れたりできねえの。
だから本当にやめて。もう絶対に。俺の前でその子の話題も出さないで。』

・・・・。

俺・・・バカでごめん。何度も言われてたんじゃんね・・・。
本気で比呂はいってくれてたんだね・・そういうことを。
俺の中で比呂は、やっぱすごくモテる人っていう印象が強くて
『俺の前で他の女の話すんな』とかやたら言ってくるけど
そこまで深く悩んでくれるだなんて、おもってなかった。

っていうか、言われるたびに思ったんだけど・・
思いたりなかったっていうか・・・
俺自身の自覚に繋がっていってなかった・・。

ごめん。

比呂に謝ったら、比呂はすごく悲しそうな顔をして
ベッドにごろんと寝転ぶから、俺は背中に抱きついた。
『・・・ありがとう・・。そこまで思ってもらえてうれしいよ。』
って俺は言った。比呂は黙ってる。
帰り道は手をつないで歩いたけど、比呂の口数は少なくて
よっぽど傷つけちゃってたんだなって思って俺は反省をした。

『比呂って・・昔女遊びしてたわりには・・なんか真面目だよね。』
そんなこと言って俺が笑ったら、比呂は少しだけ俺に合わせて笑って
そのあと地面を見ながら考え込んでたんだけど、ふって顔を上げたのね。
『・・・・ただ勝手なだけじゃん・・。』って言って、俺を見た。
俺も比呂のことをじっとみた。かっこいいなー・・っておもったよ。

比呂は俺の顔から視線を外すと、また地面を見ながら歩く。
また何かを考えていたみたいだけど、それでも俺の手を優しくひいてくれた。

交換日記に・・・彼女のことを書いちゃったのを思い出したけど
渡しちゃった後で・・・それがちょっと心に引っかかる。
今思うと・・俺、酷いことを比呂に言ってきてしまったってわかる。

比呂に求めてばっかで、自分は勝手なことばっか言ってた。ごめん。比呂。
絶対もう、彼女の話はしないから。ごめん。
2008/06/29(日) 22:30:20
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