2006/7/21 (Fri.) 08:42:16

昨夜・・夜中に目が覚めて、俺は病室をでて、廊下の窓から外を眺めた。
早く、外に出ていきたい。明日から夏休みなのにな・・・。

点滴が一日一本になるみたくて、針は手の甲に刺したままだけど、
夜間の点滴を外してもらえたのが嬉しかった。
病室では今日もおじちゃんが、ベッドの脇で転寝をしている。

昨日の朝、なんか俺・・おじちゃんに言わなきゃいい事まで言っちゃって
昼間、病室の天井をみながら、後悔ばっかしていたよ。

何で俺は言っても仕方のないことばかり、ああやって言っちゃうんだろう。
バイトだってこの時期忙しいのに、もう何日も休んじゃってるし・・。

迷惑ばっかかけて、誰の力にもなることができない迷惑な俺なんか、消えてなくなればいいんだ。

閉じた世界で、俺は自分と向き合わざるを得なかった。あんだけ必死に色んなモノを並べて
時間を埋め尽くしながらいつも、見ないように・・考えないように・・俺なりに頑張ってきたんだよ。
なのに、それは違うと言われてしまった。楽になってほしいと言われてしまった。
楽になる方法?どこにあるんだよ。無いものなのに、あるかもしれないって期待するから結局人は苦しむんだ。

心の傷だの・・なんだのって・・言われて俺は腹立たしかった。
俺の大事な宝物を・・傷物呼ばわりされたことが。

理屈っぽいことを考える自分に引く。
俺は、小さい頃、一人でカップラーメン作った時のことを思い出した。

台所のテーブルにカップラーメンのせて、俺は背伸びしてポットのお湯を入れようとした。
ポットが重くてぐらついて、体中にお湯をかぶったんだけど、俺は火傷はしなかった。
ポットの中に入ってたのは何日も前に入れたお湯で、俺がかぶった時にはもうすっかり冷めきっていたから。

あの時の俺は単純に、熱い思いをしなくてよかったと、
・・自分はラッキーだったと・・そんな風にしか思わなかった。
濡れた服を着替えながら、確か鼻歌まで歌ってた気がする。

でも今そのことを思い返すと、あの頃の自分が惨めに思えるよ。
ポットの湯が冷めてたこととか、テーブルまで届かないような背丈の俺が
一人でカップラーメン作ろうとしてたこととかの、意味がもうわかる年になっちゃったから。

ふと・・幸村の泣き顔が浮かんでくる。俺がこんな事になって、学校もバイトも行けないから
あいつが一人になってんじゃないかと・・ちょっと心配になったりする。

さみしい思いをさせてるんじゃないかと・・夜空を見ながらぼんやり思った。

麦や浅井や小沢たちと、一緒に病院に来てくれるけど
幸村は、前みたいに、あんまり俺に話しかけてこない。
でも、何かをいいたそうな顔で、俺のほうをちらちら見るから
なんなのかなって思うけど・・あいつは結局何も言わずに、
『じゃあまた明日』といって帰って行く。

俺は幸村じゃないから、あいつの気持ちはわからないけど・・
幸村が俺を必要としてるのは、なんとなくわかっているんだ

みんなが俺を心配してくれてることも・・
本当はちゃんとわかっているんだ。
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