2006/7/21 (Fri.) 23:28:56

『紺野・・ちょっと。』
『・・・は?』
『いいからちょっと・・。』
『・・・・?』

点滴減らした途端、脅威の回復をみせた比呂。
昨日までの弱々しさは、今はどこにも見当たらない。

俺は昨夜一晩中、寝ずにひとつのことを考えていた。
昨日の朝、比呂のおじちゃんと語ったことで、自分の気持ちに整理がついて決めたんだ。

ふられてもいいから告白しようって・・。
好きだよってちゃんと言って・・そんで・・・そんで・・・。

俺は比呂を廊下に呼び出す。病室で小沢と浅井が
『なにー?どこいくの?』という。

『ちょっと用事。すぐ戻るから。』
俺はそういって、比呂の腕をひっぱっていく。
病室の扉を閉める時、幸村が複雑そうな表情で、俺達の事を見ているのに気がついた。

『・・・どこいくの。』
『人がこねえとこ。』
『なにそれ、リンチ?』
『・・・・・。』
笑えないこといった比呂は、なんか自分でそのサムさにうけて、
大笑いして、思い切りむせて、うずくまった。

『なにやってんだよもー・・。』
涙目の比呂の背中に声をかける。
『ガムが・・のどに・・・。』
『あほ。』
『うるせえ黙れ。優しくしろばーか!』
『・・・言いたい放題だな・・。』

・・優しくしてやりたいよ。何なら今すぐ、ちゅうでもしてやろうか。
お前が死にかけたあの日から、ほんの数日で5キロ痩せたんだぞ。

廊下の突き当たりがちょうど、リネン室の前になってて、人が全然いなかったから
告白場所をそこに決めた。

俺は、比呂の腕にそっと触れる。比呂はされるがままだ。こいつは前からこんなかんじ。
無言で俺の顔を見る。・・・そういう目でお前が俺を見るから、俺はこんな恋におちちまったんだ。

『比呂・・・。』真顔の俺。
『・・・あー?』突然めんどくさそーなりアクションで、テキトーな返事をする紺野。
『あー?・・じゃねえよ。話があるんだよ。』
『さっきも聞いたし。』・・ああ、たしかに。

『あのな・・比呂・・。俺な・・ずっとお前に言いたかったことがあるんだ。』
『は?なにそれ。』
『なんだよ、最初から、聞く気無しみたいなノリは』
『別に。』
そんなこといいながら、比呂はクシュンとくしゃみをした。
・・・ったくよー・・・、モチベーションさがるわー。

俺は、頭をぶるぶる震わせて、『くそー!』っといって、自分に喝を入れた。
そんな俺を見て、比呂が目を丸くして『やめてよ、怖いから』とかいう。
くっそ・・あほ比呂め。脱力系なことばっか言いやがって・・。

『ちゃんと人の話を聞けよ。』
『・・・はい。』

いきなり素直になる比呂に、思わずのけぞる。
『・・・怖いんだけど・・・。』
比呂がガム食いながら、あきれたような顔で俺に言った。

た・の・む・か・ら・黙ってくれーー!!俺の最愛のハニー!!

『あのな・・・比呂・・・。』
俺は、自分史上最高に、真剣な表情で比呂に言う。
さすがに俺が大事な話をしようとしてるのに気がついたようで比呂は黙って俺を見ていた。

うっわ・・。どきどきする。告白なんて・・どんだけぶりだ?
ナンパの1000倍、緊張するんだけど!!!


俺は比呂の腕をぎゅっとにぎる。点滴用の針が刺さったままの右手を見てたら切なくなった。
大好きな比呂の体・・。デコにも傷ができてしまった。
今すぐこいつを全部脱がして、体中を優しく撫でて
舌を這わせ、傷の全てに口づけをし、全部を俺のモノにしたい。

『こんにょ・・・』
『・・・・? 』
『あのな・・。』
『・・うん・・。』
『俺は・・お前の事が・・。』

『・・・。』

俺はそこまでいうと、ちらっと紺野の顔を見てみた。
そしたら比呂は、ガムを膨らませて、暇そうな顔してあさっての方向をみてぼんやりしてた・・・。


こ・・・・こいつ・・・。

全然俺の話きいてねえ・・

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