『比呂が元気になって嬉しい。』

点滴の数が減ってから、比呂が急に元気になってきた。
麦に悪態をつくようになったし、 気持ちが上向きになったってことかな。

でも俺は最高にブルー。 ブルー・ザ・ナイト・イン静岡だよ。
どーしよう・・もう・・。大ピンチだ・・。 これじゃあ今夜も寝れそうにない・・・。

見舞いに行って、みんなで比呂の部屋でウダウダしてる時、
麦の様子がなんか変で、どうしたのかなっておもってたら、
突然ガタっとたちあがって、比呂を連れて部屋の外にいっちゃったんだ。

比呂の腕を掴んで出て行って・・5分ぐらい戻ってこなくて、
俺は気になって仕方なくて、全身の力がぬけてしまったよ。

ちょっとして、あいつらが戻ってきたんだけど、 麦はなんか、疲れきっていて、

もしかして・・麦・・比呂に告ったんじゃねえかって・・ そんな気がしてもうたまらなかった。

比呂はかったるそうで、『眠いから寝る。あんたっちは、テキトーに遊んでて。』
と俺らにすくいようのないようなことを言って、ベッドにもぐって寝ようとする。
すると麦が『おやすみのちゅうは?』と、比呂にほっぺをさしだしたんだ。

そしたら・・・そしたら比呂が、麦の頬にちゅうをしたんだ。
で、『おえ。』といって、寝てしまった。
・・・・。
なにそれ・・・。おやすみのちゅうってなに?
こいつらって・・実際・・・もうとっくに付き合ってたりしてんの?

うそだそんな・・そんなこと・・・。


麦は比呂に布団をかけてやる。しょうがねえなーみたいな顔で。

『保護者は大変だね。』って、浅井が麦の肩を叩いた。
んふふ・・と麦は、困ったような顔で笑う。

なんだそりゃ・・・。なんだそれ・・・・。

そしたら小沢が比呂を揺り起こして 『俺にもおやすみのちゅうは?』という。
すると比呂は、片目だけ開けて、ちゅっと小沢の頬にちゅうをした。
それを見た浅井が『なんだー!紺野ちゃん!俺にも俺にも!』って騒ぎ出す。
そしたら比呂は、露骨にめんどくさそうな顔しつつ 浅井の頬にもちゅっとした。

それって・・もしかして・・次は俺の番・・・みたいなのり?

俺は、ゆっくり比呂に近づくと、『俺にも・・俺にもして・・。』と比呂にいった。

そしたら比呂は俺の手を掴んで、俺の手の甲にちゅっとキスをしたんだ。


バタンとベッドにたおれこんで、あっという間に眠る比呂・・。
何で俺だけ、ほっぺじゃなくて、手の甲にちゅうだったんだろう・・。
俺の頬なんかに、ちゅうするのが・・嫌だったってことかなあ・・。

そしたらね、浅井がいったんだ。

『なんか今のって、お姫様と王子様みたいだったね。』って。


・・・王子様って・・比呂?お姫様って俺? 俺はおもいっきり、顔を赤らめてしまう。

そうだよな・・。そういう考え方もあるんだよね・・。
ブルーになるより、ときめいとこう。 眠れねえのには かわらねえけど!

あー・・なんか・・。片思いの醍醐味ってかんじ。
何より比呂が元気になって、ほんとにほんとに、最高嬉しいや!!






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