2006/8/18 (Fri.) 23:21:36

とにかく俺は、朝からイラついていた。ああむかつく。
目覚まし占いで、自分の星座見るのも忘れ、おうし座チェックにいそしむ自分がむかつく。
しかも今日のおうし座は最下位で、『あーあ。こんにょ、機嫌わりいのかなあ・・。』
なんていう独り言をつぶやいちゃった自分に心底腹が立つ。
最近、女ともやってないし、何から何までむかつく要素満載だった。

部活に行ったら紺野がメガネと一緒に何かを捕まえて遊んでいた。
その後姿にときめいた自分に更に腹が立って、思わず俺は紺野の背中を蹴飛ばした。

俺が蹴飛ばした勢いで、体育館の壁にデコをぶつけた紺野。
振り返った顔をみたら、あまりにかわいくて、それが更に俺をムカつかせた。

『好きだ』というかわりに自分でも引くような罵声を紺野に浴びせかける。

紺野は黙って聞いていた。反撃しないとこを見ると
冗談で蹴ったわけじゃないことは察してるんだろう。そのうち浅井に止められた。

紺野が俺を相手にしないから、頭に来て前の寿司屋での一件を蒸し返す。
あのときの相手の女の事を、悪くいったら紺野がキレた。

ぶん殴られた俺は、たった一発で床に倒れこむ。
本気の比呂は、やっぱ強かった。だけど俺も負けじと戦う。

たかが喧嘩だ。だけど、そんな単純なものではなかった。
俺はこの数ヶ月間、あてのない片思いで苦しんで、その恋の相手が死に掛けたり、
寿司屋で女に馬鹿にされたりそんなのみせられて散々だったんだんだ。

責任取れ、ばか紺野。

結局、その後先生に止められて、ぶっ倒れて保健室行きだった俺たち。
あやまるもんか。悪いのは紺野だ。あいつの鈍感さが全部悪いんだ。

家に帰ったら、妹が俺の顔をみて、驚いて泣いた。小学一年生の妹に泣かれて俺は、やっと反省をする。

それでもなんか、男の意地っていうか・・やっぱあやまるのはシャクで、
電話しようとしてやめてメールも打とうと思ってやめた。
夕飯食ったら気が抜けて、そのまま22時まで眠ってしまったんだ。

寝て起きたら、かなり冷静になった自分が居て、俺はその勢いで、比呂の携帯にメールする。

近所の公園に呼び出して、くるかもわからない比呂を俺は、木の下でひたすら待っていた。
10分ほどで、比呂が来た。そして無言で俺の横に立つ。

あんまり顔を殴らないようにしたつもりだったが
結構顔に傷がついていて、ムカついてても愛情は深いから軽く自分でショックを受ける。

『痛い?きず。』俺の精一杯の言葉。
『・・・痛いに決まってんじゃん。』紺野の声。

・・・・その声が愛しくて、やっぱムカついた。
次の瞬間俺の口から出たのは『あやまらねえからな!』という言葉だった。

でもこれは本音だった。だって紺野は俺にどんだけ心配かけてるか、自覚がちっともないからだ。

どんだけ俺が、紺野を好きで・・・どんだけ毎日、心配してるか。
鈍感すぎて泣けてくる。俺のそぶり見てちっとは気がつけよと言いたいんだ。

紺野はしばらく黙っていたが、『帰る』といって、近くのフェンスを蹴っ飛ばした。
俺がそんな紺野を睨んだら、紺野が俺を睨みかえしてきた。

そこで比呂が俺に言った捨て台詞。

『巨大ブロッコリーに食われて死ね。』



・・・一人公園に残された俺は、紺野が腹のあたりをさすりながら、かえっていく姿をみていた。
朝けんかしたとき、紺野の腹を思い切り蹴ってしまった感触がよみがえる。
好きなのに、なんで俺は、あいつの事蹴飛ばしてしまったんだろう。

なんかさみしくなって、かなり泣けた。


今だったら・・巨大ブロッコリーに食われて、死んだ方がよっぽど幸せだ。
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