あと一時間!
あと一時間で、俺の大好きな大親友の誕生日〜。
日付変わったらそっこうで、ハピバメール送ろうかなーと思ってるんだけど
もしかして、寝てたら迷惑? でもどうしよう・・・ううううう・・・・。
そしたら、比呂からメールが来て、
<お前のことは大好きなんだけど、頼むから明日の鍋、にんじんは入れないで。>
だって。あはは。
今日、昼飯の時、鍋の具材のことについて語ってて、結局寄せ鍋にすることにしたんだけど、
色具合から、やっぱにんじん入れようって俺が提案して。そしたら比呂が露骨に嫌がるから、
『駄目!俺のことが好きなら、それぐらいガマンして!』
って言ったの、俺。そしたら比呂、すげえ小声で
『・・・・・それぐらいって・・それぐらい・・って・・・・・。』
って、いじけちゃったんだ。 俺がほっぺに、ちゅしてあげたら、すぐに機嫌なおったんだけど。
で、そんなこんなで、上機嫌になった比呂が、にんじんことなんか、ころっと忘れちゃってー、
『明日は楽しみだねー。』とかいって、昼休み終わったんだけど、
今頃メールしてきちゃって、かっわいいの!急に思い出したんだね。あはは。
<そんなににんじん嫌い?>
<そんなのとっくに知ってるよね・・・。>
<わかってるけど。でも君もう高校生なんだよ。克服しとこうよ、そのへん。>
<しなくていいよ・・>
・・・俺の彼氏がかわいいw
<ねえ・・比呂・・。>
<なに?>
<寝ちゃう?もう?>
<・・・・・なんで?>
<もうちょっとだけ、めーるしたい>
<・・・電話でもいい?指が死ぬ。>
そのメールがついたらすぐに、比呂から電話。わー!!!
『ねむいの?比呂。』
『ああ・・まあ・・・それなりに。』
『なんじゃそら』
『最近寝不足なんだよ。』
『大丈夫?悩み事?』
『ちがうちがう。今ワンピ一巻から読み返しててさ。』
『ワンピース?』
『うん。メリーのあれを読んでから、あいつの過去を振り返ってたの。』
ふふ。ワンピースか・・。
そういえば俺、入学したての頃・・比呂にワンピ借りて一気読みしたんだよね。
今では人生に欠かせない。 その後しばらくワンピースの名シーンについて語って、
寝不足比呂ちゃん心配だから、そろそろ寝ようかーってなった。
電話の切り際に比呂が、急に黙っちゃって、そんで俺に言うんだ。
『いっそ一緒に住めたらいいのにね。』
『・・・・うん。』
そういう事、普段は言うような子じゃないのに。 よっぽど眠いんだろうな。でも本音だったら嬉しい。
血の繋がらない両親と、一つ屋根の下で暮らす心境・・ 考えるだけで涙がでる。
今が不幸だって言ってるんじゃないよ?比呂の歩いてきた道は、そのほんの一部を知っただけで、俺の胸を深くえぐったから。
ベッドに寝転んで、電話してて、俺の声が耳から聞こえて、そういうので繋がってる実感を、得てくれていたらいいなあ。
大好きなんだもん。比呂が。
夜、暗くなると、すごくさみしいんだ。自分の家庭が賑やかな分、余計に比呂の孤独がさみしいんだ。
っていっても、比呂はおじちゃんたちと仲いいし、俺の何百倍も友達がいるような気がするし、
みんなから好かれて、みんなからかわいがられて、孤独なんかじゃないんだけどね。
いいや、今日は小沢のことを考えよう。
比呂との出会いと同じくらい、小沢との出会いが俺の人生を変えてくれた。
明日は誰よりも大きな声で、ハッピーバースデーうたうんだ。
発声練習でもしようかな。
そして隣の部屋の兄ちゃんに、壁叩かれておこられるんだ、あは!
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