『うむむ』
今日は期末テスト二日目なり。光が丘は朝から曇り空。
俺が学校に着くまでは、それでもなんとかもったんだけど、
下駄箱通過して教室につく頃には、外はいきなり土砂降りで
あとから来るやつらは見事にずぶぬれだった。
ちょっとしたら、階段の方から、ゲラゲラ笑い声が聞こえてきて
教室のドアから顔を出したら、浅井と比呂と麦が
まるで服を着たまま泳いだみたいなノリの勢いで
びっしゃびしゃに濡れていた。
俺の視線に気がついた比呂が、『ハロー』といって手を振った。
朝の挨拶は『グッモーニン』だろ。今日の英語は確実に追試だね。
『どしたのー。』
麦が一組、浅井が三組に向かっていったので、俺は比呂と話をする。
『来る時にいきなり降ってきてさー、公園のとこの木の下で雨宿りしてたんだけど。』
『うん。』
『一回すっげえ風吹いたじゃん。あの時葉っぱがガサ〜って揺れて、
雨粒が一気に落ちてきて、この有様。』
『あははは。』
想像したら、キュートで笑えた。
『麦と浅井も一緒に雨宿りしてたの?』
『ううん。その時は俺一人だったんだけど。』
『うん。』
『駐輪場で2人に会って、昇降口まで走る時に、滝のように雨が降ってきてさ
そんでやつらもこんなに濡れた。ひどい。』
『んふふ。ひどいね。』
『ああ。ひどいよね。』
俺はハンカチで比呂の髪を拭いた。
あはは。焼け石に水だ、こりゃ。
『部室行って、ジャージに着替えてくるよー。』
『うん。そうだね。』
『廊下の手すり、もう満員だもんな。』
ふと見渡すと、廊下の手すりには、濡れた制服がずらりとかけられている。
『部室に干してくるわー。』
『うん。わかった。』
そういうと、麦が教室から出てきて
『おおー。お前どーすんの?部室行くなら一緒に行こうぜー』
と声をかけてきた。比呂は、小走りに麦に近づいていく。
・・・ちぇ。
雨に濡れないでラッキ〜とか、思ってた自分が滑稽で泣ける。
ずぶぬれに濡れてた方が、よっぱど美味しいじゃん。ちぇ。
テストは普通に楽勝だった。あ〜あ。もう、やんなっちゃうよ。
とりあえず明日は後期の受験で、学校は休みだから、比呂と会えたらいいなあと思う。
でも電話する気力がないよ。
2007/03/05(月) 21:56:49