『たらいまっ』
昨夜はバイトあとに、浅井の家に泊まった。
おじさんたちが夫婦で、転勤前研修だかにいったらしく
今週いっぱい1人なんだって。だから昨夜、比呂と泊まりにいった。
3人で飯を作ることにして、メニューはオムライスに決定。
そしたら比呂がすごいんだ。
洋食屋さんみたいに上手にオムライスをつくってくれたんだよ。
比呂って料理とかできない子なのね。
子供の時にひとりの時間が多かった割には
全然駄目なの。包丁の持ち方とか。
だから今回も野菜切ったりするのは、俺と浅井でやったんだー。
でもその後の作業は圧巻だったよ。
大き目の中華なべを片手で振って、大食い三人分の
チキンライスを、あっという間に作っちゃったんだから!
腕の筋肉がわりとすごくて、ギャップに感動した。きゃ。
オム部分も上手にできて、食ったらマジうまかったよー。
で、3人で狭い風呂にひしめき合いながら入った。
こないだえっちしたからさ、比呂の裸見るのがちょっと照れくさかった。
比呂はというと、俺の裸を絶対視界に入れないように、
浅井のほうをガン見してたから、浅井がちょっぴり照れていました。ぽ。
俺、浅井の家に入ったのって、初めてだったんだけど、段ボールのままの荷物とかあって、
あらためて転勤族の子供なんだなあって思った。
風呂上りにコンビニにいって、朝飯と夜食買って、その後はゲームで遊んだ。
比呂と浅井のピクミン対決を見てる途中で俺、寝ちゃったみたくて
気がついたら俺の頭の下には、枕が挟んであって、体には布団がかかっていた。
ベランダの窓が開いてる。耳をすませたら浅井と比呂の声が聞こえた。
『チームかー。笑えるね。』
『そう。もうねー、あの年代は、大好きなんだよ。チーム作るのが』
『あはは。』
『俺なんて、バイトの面接の時に、にんじん嫌いですっていったら、<チームにんじん嫌い>に入れられちゃって。』
『えー!1人なのにチーム?』
『それがいるんだよ、俺以外にもメンバーが。上は65歳から下は離乳児まで。』
『あはは。』
『1回だけ集まりがあったのー。まいっちゃったよもー。』
『えー?どんな?』
『ハルカさんの知り合いのカフェで、にんじん嫌い克服メニュー出されて、無理に食わされてー。』
『あはは。』
『誰1人として克服を望んでないのにだよ?おかしいでしょ。』
『んふふふ。』
『しかも会費制なんだよ!一人3500円とかありえねえ〜〜〜〜』
『んぎゃっ!高い!』
『そんなのメガマックいくつ食える金額なんだって感じだよね。』
『マック基準なのが、いかにも俺らの年代ってかんじだね。』
『ちなみにハルカさん世代は、基準は基本的にうまい棒らしい。』
『10円基準は計算しやすいもんね。わかるわかる。』
『だからうまい棒計算なら350本食える金額を、人生の中で
もっとも関わりたくないもののために、俺達は捧げたんだよ。』
『おつかれさん。』
『この悲劇が繰り返されないことを祈る。まじで。』
・・・・・。
あほらし。
俺はそのまま目を閉じて、特に2人に話しかけず眠ってしまった。
気がついたらもう外は明るくて、俺を挟んだ川の字状態で
浅井と比呂が眠っていた。
2人とも、かわいい顔で寝てて、なんだか愛しくて
生まれ変わったらこの面子で、三人兄弟になれたらいいなって思った。
2007/03/07(水) 13:00:11