『たまごちゃーはん師』

一昨日、浅井が引っ越してしまって、悲しくて死ぬと思ったのは初めてだった。

いじめられてた頃、世の中に絶望して何度も死にたいと思ったけど
浅井との別れの方が、何倍も悲しくてくるしいや。
楽しくて大好きでたまらないのに・・何で離れないといけないんだろう。

見送りの時、小沢がホームで泣き崩れてしまって、それを慰めようとしたんだけど
『大丈夫?』ってかけようと思った声が、全然出てこなかったんだ。
坂口も麦も、押し黙ってて、そんな時比呂が携帯を出して
誰にかけたのかと思ったら、電話の相手はおじちゃんだったみたい。

おじちゃんが電話口に出た途端、比呂がぼろぼろ泣いちゃって

辛くてたまらなくてかけた電話の相手が、紺野さんだったって知った俺と、
麦と小沢と坂口は、なんだか、それにすごく救われた。

夜、浅井の携帯にメールをしたら、広島の夜景を写メってくれて

<今日はどうもありがとう>
<連絡網とか手紙とか寄せ書きとか>
<プレゼントとか、ずっと大事にするよ。>
<またゆっくり電話するね。>

<瑞希>

だって。だから俺は、自分の笑顔の写真を写メったよ。
送信したあとに、若干自分にひいたけどね。

というかんじで・・昨日は離任式だった。

仲の良かった木村先生が他所の学校にいくことになって、みんなで寄せ書きと花を渡したんだけど、
転任先が女子高で、そしたら比呂が『なんだとーー!!くっそ!花返せえ〜〜〜〜!!!』
とかいって、木村ちゃんとじゃれあっていた。

もうこの光景も見れなくなるなあ・・・。ぐっすん。なぐさめて。俺の比呂ちゃん。

で、昨夜は俺んちに麦と比呂がとまった。姉ちゃんが出産予定日間近なんだけど
子供の頭の位置がなんだかで、早めに入院することになって。で、父親は出張で、
兄ちゃんは彼女と旅行で、かあちゃんは姉ちゃんに付き添ってるから俺一人だったんだよね〜。

で、誘ったら、きてくれて。昨夜から徹夜でゲームやって遊んだ。

朝の8時過ぎに寝て、俺はさっきまで爆睡してたんだけど、比呂と麦はリボーンに間に合うように
起きてたみたくて俺が起きた時にそばにいなくて、下に行ったら台所でなんかつくってた。

『ったく卵の殻くらい割れろよ!』
『割れろよって俺に言うなよ!卵に言えよ!卵に!』
『ネギも満足に切れねえくせに、チャーハンなんかつくれんのか!』
『Σ(゚□゚;)!! おっ前、口のきき方気をつけろよ?!俺は卵チャーハン師だよ!』


・・たまごちゃーはん師?


『卵チャーハン師ってなに?』
『匠の技ってことですよ。』
『匠って・・・大工さんのことじゃねえの?』
『劇的ビフォーアフターみてねえの?!匠はすげえんだよマジで。』

・・・こんにょ・・・

『・・匠はすごいかもしれねえけど・・お前にうまいチャーハン作れるとは思えない・・』
『ひどっ!ひどいわあんた!もう嫌い!』
『?!!!何でそんなんで嫌いになるんだよ?!』
『もうマジ嫌いっ!でも佐伯麦のことは許してやる。佐伯麦としてで・な・お・せ!!』
『・・・あ、紺野くん、こんにちわ!佐伯です。』
『佐伯君。ネギを切れ。お前は弟子だ。』

2人のエンドレスワールドについていけない俺がここに一人・・・

というわけで、どうやら卵チャーハンを作ってくれる模様だ。
だから俺はそれができるまで、もうちょっとだけ、おやすみなさいー。


2007/03/31(土) 12:56:13
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