2006.4.27(thurs)21:15
『ケーキ』

紺野が見舞いに来てくれた。うまそうなケーキ沢山持って。
『・・・大丈夫?』って紺野に言われた時、俺、風邪ひいてよかったーって思った。

『・・先生からプリント預かった・・・あと・・ノートコピーしてきた。』
『ありがとう・・ごめんな。なんか。』
『いいよ。っていうか、声かすれてるね。咳とか平気なの?』
『うん。熱も下がってきたし、明日はいけると思う。』
『ふーん・・。』


ふーんっていいながら紺野は、プリントやノートをリュックから出して
俺の机の上に置く。

『ねえ。』
『え?』
『お前って野球やってたんだって?』
『・・・ああ。うん。中学までね。』
『斉藤が、今日そんな話しててさ。ユッキー上手なんだよって。』
『上手ってほどじゃねえけど・・ピッチャーやってたよ。』
『へえ・・。じゃあ、その時に考えたの?ユッキー魔球。』


ユッキー魔球っていうのは、紺野と俺の中で流行ってる
雑巾野球で俺が投げる魔球。

『ちがうよ。だって投げてるものが違うじゃん。』
『ああそうかっ。だよな。』
『そうだよ。魔球は比呂との対決の中で編み出した。』
『へ〜。』

へーだのふーんだの、気の抜けたヤツ。

そんな話してたら、紺野が俺の本棚に向かって、一冊の本を手に取った。
『・・・ユッキー・・宇宙好きなの?』

その本は天文学の本だ。もともと兄貴の本だったんだけど、見た目がかっこいいから、
俺が兄貴からもらったんだ。まさか紺野が興味示すなんて・・。

『宇宙は好きだけど、それは兄貴の本。比呂こそ宇宙好きなの?』
『うん。好き。写真とか見ると楽しいよね。』
『だね。』

目をあわせて、なんとなくふふっと笑った。


俺、今日一日休んだけど、友情には何も変化はなかった。
見舞ってもらえて嬉しかったし・・今日も紺野と会話ができたや。


紺野が帰った後ケーキを食った。
なんか全部のケーキに果物が宝石みたくのっかってて豪華だった。
こんなのあいつが選ぶなんて意外だなあって思ったけど

紺野が俺に手渡してくれたんだから、間違いなくこれは紺野が買って来てくれたものだ。

俺のために・・・。うれしいね。
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