Date 2006 ・ 05 ・ 21
俺は労働に生きる。

今日は午前中部活があって、午後から俺は塾、比呂はバイトだった。
塾が17時に終わって、俺は比呂のバイト先に寄ってみる。
休憩時間がありそうだったら、一緒に夕飯食おうと思って。

17時半ごろ店について、そしたら比呂はラッピング中だった。
のろまな比呂とは思えないような手つきで、綺麗に花を束ねていく。

店の外で見とれていたら、『邪魔よ。ピンク。』とドスのきいた声がした。
声の主はわかってるから、俺は無視して比呂をじ・・っと見続けた。

そしたら思い切り金蹴りをくらった。んが。なにすんだ!このオカマ!
するとオカマは『天誅よ。ざまあみなさい。』と言って、店内につかつか入っていき、
比呂のところにいって何かをささやいた。

比呂が一瞬きょろきょろとして、俺と目が合うと、にっこりと笑った。わあ・・・・。
『幸村ー。どした?こっちおいで。』
満面の笑みで、俺を手招きする比呂。嬉しくって震えちゃうよ。
俺はたいして広くもない店内を、走って比呂のもとに向かった。
比呂は俺の顔を見て言った。『もうすぐバイト終わる。あそぶ?』

*******

店の近くの喫茶店で、飯食って俺らはゲーセンに行った。
昼のゲーセンはよく来るけれど、夜のゲーセンは、ちと怖くてあれだ。
ひとりじゃなかなかこれないんだけど、今日は比呂がいてくれるから怖くない。

比呂はレーシングゲームが大好きで、きゃきゃと笑いながら二人で対戦した。
ガンゲームは比呂はまるで苦手らしい。
ゾンビが出てきても、全然打ち倒せない。反応が遅いからだ。
いつもの俊敏さはどこ行った。
『実戦だったら俺、死んじゃう・・・。』けらけら笑って比呂が俺に言う。
俺は心の底から思った。戦争が起きなければいいなって。

そのあとはずっと、クレーンゲームをやっていた。
比呂がスゲえ上手で、俺の欲しがったものは全部一発でとってくれたんだ。

帰り道、俺の自転車のカゴには、戦利品があふれかえっていた。
思えば全部金を比呂が出してくれた。スゲえ金額になってる気がする。

飯とかも、大体いつも比呂がおごってくれるんだよね。
家の前で比呂と別れる時に、俺、比呂に言ってみたんだ。
『なんかいいバイトないかなあ。俺、働きたいんだ。』ってね。

入学してすぐにやったコンビニのバイトはいまいち俺に合わなくて、
そんなときに比呂が言ってくれたことがあったんだ。
『俺んちバイト先とか、どう?』って。

バイトのことを相談したら、比呂は、ん?って顔をして
『幸村塾あるんじゃん。できるの?』と聞いてくる。
『週2か3くらいだったらできる。』とこたえると
『じゃあ、俺、店の人に聞いてみるよ』だって。

で、さっき風呂から出たらさ、比呂からメールが来たんだよ。
『ハルカさんに聞いてみたんだけど、ピンク雇うならコキ使うって。』
あの大オカマめ・・とおもったけど、とりあえず雇ってくれそうな感じだ。
とりあえず明日から早速、バイトにいくことになった。

俺はもう、労働に生きちゃうよ!



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