2006/5/28 (Sun.) 23:37:34
昨夜、比呂と喧嘩して、警察沙汰になったんだけど
ただの喧嘩っていうことで、おとがめナシで帰った俺たち。
仲直りしないまま別れて、夜中中待ってたけど、比呂からはメールも電話もなかった。
今日、俺は午後からバイトで、店に行ったら比呂がいない。
『・・紺野は・・。』と秋山さんに聞くと、『倉庫で在庫調べてるよ。』といわれた。
『なんかさー、紺野、喧嘩したみたいでさー、ほっぺのとことか青くなっちゃって
店出れないんだよね。あいつがいないときついけど、ほらうちもサービス業だから』
やばい・・。俺昨夜、本気で比呂をなぐっちゃったから。
俺は口のハシをちょっと切っただけだった。きっと加減して比呂は喧嘩してくれてたんだと思う。
・・俺はバカだとおもった。毎回そう思うんだけど今回は一段とそう思った。比呂には非が一切ない。
バイト上がりは俺のほうが先で、でもなんかこのまま帰れないし
だからって、倉庫にいる比呂に会いに行く勇気もない。
俺はスタッフルームで2時間もの間、じっと比呂のことを待っていた。
20時。比呂の上がり時間。階段を上ってくる音がして、がちゃっと部屋のドアが開く。
スタッフルームのイスに座ってた俺と、目が合った比呂は一瞬視線をそらした後に
また俺の目を見て言った。
『遊ぶ?・・・・約束だから。』
・・え?俺は思わず立ち上がる。
『怒ってないの?』
『怒ってるよ。見ろよこの顔。』
比呂は眼帯をしてて、頬とかが青くなっていた。
『わり・・。俺・・。』
『いいよ。俺だって殴っちゃったし・・・。』
俺の横を通りながら、比呂はロッカーに行って荷物を取り出す。
俺はその後の言葉が続かず、黙って床の傷を眺めてた。
そしたら比呂が、ガタっと、空いてるイスに座って言う。
『どーすんの。遊ぶ?やめる?』『・・・・。』
『黙るなよ。返事くらいして。』『・・・話がしたい・・。』
『・・わかった。・・・・何?』『・・・・・・。』
『・・・・話が無いなら、俺は帰るよ。』『また女のとこに行くのかよ。』
・・・結局俺の不安材料はそこ。比呂は、心底あきれたような顔をした。
『口を開けばおんなおんなって・・。』
『・・・・。』
比呂はがたっとイスからたちあがり、荷物を持って、部屋を出て行こうとして、
ドアのところで振り返り、俺に向かってこう言い捨てた。
『話にならねーな。帰る。』
比呂はそのままドアをしめて、足音はどんどん遠のいていく。
5分くらい俺はぼんやりしてたけど、仕方ないから帰ることにした。
階段を下りて、秋山さんに挨拶して、自転車置き場に行ったら比呂がいた。
誰かと電話で話してて、話の内容をきくかぎり、どうやら相手は佐伯らしい。
『・・は?なんで。・・ああ・・。わかった。俺今日調子わりいからさ、明日学校で話聞く。』
・・・物陰に隠れて、比呂の声に耳を傾けていた。
比呂はそのあと簡単におやすみの挨拶をして電話をきった。
比呂は自転車の鍵を開け、押して歩きながら帰ろうとする。
俺はすかさず比呂の前に立ちはだかる。比呂は露骨に驚いて俺を見た。
『・・・なに・・?』
『ごめん。』
『・・・なにが・・。』
『遊びたい。』
『・・・・。』
『たまには飯おごる。一緒にくいにいこう。』
『・・・。』
『・・・駄目?』
比呂は俺の顔をじっとみてから、自分の顔を指差した。
『俺、こんな顔だから・・あんま店とかで食いたくないよ。』
『じゃあなんか買って、暗闇で食おう。』
『それだったら・・まあ・・・。』
なんとなく商談成立な雰囲気になり、俺らは二人で自転車を押して近くのコンビニまでいった。
店にいた人が比呂の顔を、ジロジロみた。
『はずかしい・・。早く買って出ようよ。』比呂の言葉をきき、俺は頷いた。
頭はまんぱん状態で・・・飯食いながら何をこいつに言おうか、
必死にシミュレーションしている。
なくしたくない比呂との友情を守るためだ。絶対絶対守り通すんだ。