2006/5/30 (Tue.) 23:13:57
紺野が・・。比呂が見舞いにきてくれた。
部活あとのバイト前に30分だけあがってくれて、それがとても嬉しかった。
眼帯とれた比呂は、目の上のあたりが傷になってて、
でもそれよりも俺が心配だったのは、まだ声がちゃんと出てないことだ。
『応援練習、今日からだったの?』
『ああ・・。応援団だけね。(ガラガラ)』
そんな言葉を交わしたあとに、比呂が持ってきた袋からなにやら取り出す。
『ユッキーの大好きなアイスをかってきました。』
そういって比呂は、買ってきたアイスを積み上げる。その数がすごいんだ。
50円アイスから、ハーゲンダッツまで。
『店中のアイス、全種類一個ずつ買ってきた。』だって。もう・・。こまっちゃう。
35個のアイスを目の前に、俺は心から嬉しくて笑った。
比呂が、そんな俺の顔を見て、『元気そうで、よかったよ。何食べたい?』って言った。
俺はバニラアイスを選んで、比呂はガリガリ君を選んだ。ちょうど兄ちゃんの彼女も来てて、
姉ちゃんの友達もきてたから、俺がみんなの部屋に行って、アイスを配って残りを冷凍庫に入れる。
そして部屋に戻ったら比呂は、ガリガリ君を咥えながら、自分のリュックをガサガサ漁ってた。
『どうしたの?』
『・・今日・・数学のプリント配られてさ・・お前の分もってきた。』
プリントを探し当てた比呂が、俺の分だといって一枚渡す。
そのプリントには岸先生からの伝言メモがぺたりと貼ってあった。
《体調のいい時にやればいいので、今日はゆっくり休んでください。お大事に。岸》
心の奥が、ジンとする。嘘休みをしたことを、後悔した。
比呂がガリガリ食いながら俺を見る。
『俺さー・・・今日も昼飯ひとりで食ったんだー。』
『・・なんで?』
『まあ、応援団の練習もあったし、あんま食う時間なかったからってのもあるんだけど、
お前が休んでるときに、他のやつと食う気にならないんだよね。』
『・・・・。』
『だからさー。早く体治してさー、学校こいよ。』
『・・・。』
『・・な。』
『・・・うん。』
そのあとは無言でアイスを食った。無言で、足を蹴飛ばしあいながら。
大喧嘩して、一応仲直りめいたこともしたんだけど、どこかでしっくりきてなくて・・。
でも,比呂と足を蹴飛ばしあったら、なんか本当に仲直りできた気がした。
比呂がバイトに行くといって、あっというまに二人の時間が終わる。
俺は玄関まで見送りにでる。そしたら俺の親が、比呂にお礼を言いにでてきた。
『ごめんなさいね。いつも色々頂いちゃって。』と母親が言うと
『いえ・・。そんな・・。お邪魔しました。』と比呂がお辞儀をする。
そして俺のほうに『じゃあな。』と言うと、また母親みお辞儀をして玄関を閉めた。
・・だいすきだ・・。ああいう比呂がすげえ好き。
どんな現実を見せられたって、欠けたりしない。ひびすら入らない。
でっかいハートは俺の体の真ん中でどんどん大きくなっていく。
めげないよ。俺は。勢い任せに二階まで駆け上がる。
携帯を手にして、電話をかけて、比呂が出たから、俺は言った。
『比呂っ・・きょうはありがとう。俺、お前のこと、すげえ大好きだよ!』
電話の向こうから、キキーっというブレーキ音が聞こえた。
自転車をとめてくれたんだとおもう。
『ああそうかい。ありがとよ。飯ちゃんと食って、早く治せよ。』
だってさ。俺はうれしくてにたにたわらう。
俺のスキって言葉を受け取ったな!ありがとよ・・って確かに言ったな。
俺はこうなったらずっとずっと、比呂をスキでい続けようと思う。
チャンスがあったら告ってさ、恋人に発展できたらいいなあ。
俺は一階に降りて、台所に行く。母ちゃんが晩飯の支度をしていた。
俺の姿に驚いた母ちゃんに、『腹へった。』といったら、母ちゃんが嬉しそうに笑って、
『ならちょっとは手伝いなさい』といった。
