2006/7/4 (Tue.) 08:40:46

昨夜、比呂のことを思っていたら、泣けてきちゃって、それがとまらなくって
朝起きたら、目が腫れていて、仕方がないから、めがねでごまかすことにした。

あいつの心の傷を、無意識に踏みつけてしまった。高校生にもなって、ほんと世間知らずな俺自身。
色々な事がのしかかってきて、比呂に会いたくてたまらないのに、比呂が落ち込んでたらどうしようって思うと怖い。

駐輪場につくと、比呂の自転車が置いてあった。そのすぐ横に、浅井の自転車が並べてあって、
比呂のそばに浅井がいるんだってわかったら、ちょっとだけほっとした自分がいた。
いつもは、こんなの見つけたら嫉妬のアラシで大変なのに・・つくづく自己中な自分にひく。

靴履き替えて、階段を上り、廊下を歩いていたら俺んちクラスから、でっかい声で大騒ぎしてる声が聞こえた。

『ええーーー!!やっべーーー!まじでまじで?!』
『まじも何も「1192つくろう鎌倉幕府」なんて、今時あかんぼでも知ってる!』
『なになに?紺野ちゃん、なんてかいたの?』
『・・たしか江戸幕府・・・』
『『『ぎゃーーー!!なんだこいつばかすぎる!』』』
『いやいやいやいや・・・・えーーー!!!』
『や、いくらなんでも大丈夫だろ。ちゃんと鎌倉って書いてあるって。』
『だっておれ・・、鎌倉関連の答え一切かいてないもん。』
『ぶはっ』

『わーー!!江戸視点で全部回答しちゃったよーーー!!』
『駄目だ!もう駄目だこいつは、ここにおいていこう!』
『見捨てるな。たすけてくれ。』
『江戸視点で答え書いてたんなら、一問たりともあってねえじゃん!』
『ばかだ!ほんとばか!』
『うっそだろー・・。なんだよあのテスト、キャバクラ時代の問題だったのかよ!』
『そ・う・い・うフザケタ姿勢で勉強してるから、学問の神がバチをあてたんだ!』
『学問の神様なら、すくってくださいよ!・・なあ。』
『なあ・・じゃねえだろ。だいたい、1192つくろう鎌倉幕府くらい、反射神経でこたえられろよ!』
『そんな無理難題な・・。』
『『『全然無理難題じゃねえし』』』


ぎゃいぎゃい騒いでいる輪の中心に、比呂の笑顔をみつけて、
俺は『おはよう』をいうのも忘れて、じっとその笑顔をみまもってしまった。


比呂は・・・

比呂はやっぱ強いやつだとおもった。
でもそれは、俺らが容易に想像できるような
単純な強さではないことは、たしかなんだけど。
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