Date 2006 ・ 07 ・ 15

『付き合って』違い。

昨日は俺は、よくがんばった。
一昨日の夜、清水の舞台から飛び降りるつもりで比呂をおデートに誘い、
昨日は待ち合わせ予定より二時間はやく、紺野家襲撃。
想定どおり、すやすや幸せそうに寝こけている紺野を発見。

ほっぺをぶにーっとしても、おでこにちゅうをしても
まるで起きない鈍感紺野の熟睡ぶりを確認し
そっと紺野の横にねころんで、そのまま紺野の胸に寄り添うようにして俺は・・


寝た。




考えてみたらこいつはバカだから、大抵の事は『あ、そ。』で受け流してくれる。
ならば俺は、そんなこいつの性格をフルに活用して
したいことはしてしまえばいいんじゃねえの?という極論に達してしまったのだ。

その考えに達するまでに、自問自答を繰り返して、本当に俺はもう、精神的にくたくただった。
最近はもう、なにからなにまで比呂への恋に支配されて、うまいもの食ったら比呂に教えたいし
つらいことあったら、すぐメールしちゃうし、すれ違うきっかけや、声かけてもらうきっかけを
作るのに必死だった気がする。

でもな、でもな、触れられないんだ。こいつの体には触れられないんだ。

前にこいつが俺の家に泊まった時は、一緒に風呂も入ったのに今ほど意識してなかった気がする。
あの頃も十分こいつが好きで、動作や仕草の一つ一つに
ときめきはーとを刺激されてたけど、今のこの気持ちの比ではないよ。
言葉を交わすだけじゃ満足できなくて、一度でいいから比呂に寄り添ってみたかった。
だから俺、絶交覚悟で比呂の横にねむってみた。

比呂の体は、どっちかっていうと低体温なんだとおもう。
そんでいいにおいがして、髪がさらさらしてて肌もすべすべで・・・
節々が男っぽくてかっこいいとおもう。俺は比呂をぎゅっと抱きしめてみた。
すると比呂が、くすくす笑う。
起きたのかと思ってびっくりしたけどどうやら寝たまま笑ってるようだった。

俺は、ちょっとだけうとうとと眠ってしまった。
夢の中でも意識はしっかりしてて、自問自答を繰り返した挙句、
今日こそ比呂に告白しようと決意した。

ぱっと目が覚めたら、あっという間に30分ほどたっていて、
俺は、ベッドから降りると、勝手に比呂の机を使って、
告白のシミュレーションをすることにした。

比呂の机の引き出しを勝手に開け、紙を一枚もらおうと思ったら、
写真が一枚入ってて、なんか小さい子供と比呂が、頬をよせて笑ってる写真だった。
・・・まさか比呂の隠し子じゃねえだろうな・・・。
まあそんなのほおっておいて、がさがさと机を漁る。

やましいものは何一つでてこなかった。

告白のシミュレーションは、なんとなくやめにすることにした。
比呂の机には教科書とか、授業のノートや、自由ノートしか入ってなかったからだ。

たとえばこれで、エロ本でも出てくれば、とても比呂らしいと思うけど
比呂の机に、あんな写真と、勉強道具しか入っていないのが、なんか・・なんかすげえ切なかった。

俺は、数学の教科書と、数学ノートをとりだして、練習問題をとくことにした。
切ない気分は、勉強で解消するのが一番だ。そしたらすぐに、比呂が起きた。
どーでもいい会話を2〜3すると、比呂はまたうとうとしだす。

だから俺は、比呂の数学ノートと教科書をしまい、比呂のそばに近づいて、真剣な顔でこういった。


『紺野。俺、付き合って欲しいんだけど。』

『ああ。いいよ。』

『・・ほんと?』

『・・・別に今日、バイトまで用事ないし。』

『・・・・。』

『あ、じゃあ、そのまえにコンビニ寄ってもいい?』

『・・・・・。』

『おぎやんにCD貸さないといけないから。』

『・・・うん。いいよ・・。』

『・・で、お前はどこにいくの?』

『いいんだ・・別に・・。うん・・。(むせび泣き)』



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