2006/08/21 (Mon) 00:11

小沢から借りてきたビデオ見てたら、比呂のとこに電話があって
その電話を切った途端、比呂が『眠い』とか言い出して、そのまま眠ってしまった。
俺は一人でぼんやりと、エロビをぼんやり眺めてて
でもエロビよりも、比呂の寝息のほうに、神経が集中してどうしようもない。

ビデオを消した。

眠る比呂。俺のベッドをいつものごとく占領。右頬の傷はまだ残ってるけど、他のアザが消えてよかった。
俺が蹴飛ばした腹、大丈夫かなって思って服をめくったら、腰がすげえ細かった。
どす黒くなったアザ。・・・ああ・・。そんなに強く俺、蹴飛ばしちゃったんだ・・。

なんもいってこないんだもんよ、比呂は。ひどい目にあわせてごめんな。

短くケホッっと、咳をする比呂。俺はゆっくりと髪を撫でる。
比呂の細い腰をみたら興奮してしまって、そのままゆっくり比呂の口の端に口づけた。心臓がずきりと痛んだ。

大好きだ。

俺が殴ったから少しだけ切れてしまった唇に舌を這わせる。
それでもすやすや寝てるから、俺はもう意識が飛びきっていた。

『好きだよ・・。ひろ・・。』何度もいった。
俺はもうお前以外考えられないよ。何度も何度もキスをした。一方的にだ。

比呂が起きないように加減をしている意気地のない自分がすげえむなしかった。

その時、俺の電話が鳴った。着信音がすげえでかいから、そっこうで電話にでる。
そしたら浅井からだった。

『2人きりで大丈夫かい?』という。
『なにが?』って、俺は息を落ち着かせながら言う。そうしたら、浅井がいうんだ。
『無理やりとか・・やめなよね。』

・・・・・。

『大丈夫だよ・・。』
『そんならいい。おやすみ。』そんなことをいって浅井は短い電話を切ったのだった。


・・・無理やり・・・。

比呂を見たら、こいつは、なんも考えてないような平和な顔で眠っている。

俺があんなに沢山愛を囁いても・・どんなに俺がお前を思おうと・・何一つ耳に届いちゃいない。
ばかばかしくなった。これじゃまるで、お前の体使って自慰してるようなもんだ。

俺は反則を犯してしまったことを、心の底から後悔した・・。

俺は、ぼんやりと電話をかける。

『もしもし?麦かよー。なに?』相手は浅井だ。
『ねえ、お前、なんとか泊まりにこれねえ?』
『え?』
『・・・俺、このままじゃ、紺野ヤっちゃいそう。』


泣きそうな俺の声を聞いた浅井は『わかった。いいよ。すぐいく。』といってくれた。


困り果てて涙ぐむ俺の前で、王子様は幸せそうに寝息をたてているのだった。
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