2006/8/27 (Sun.) 22:03:06

今日はバイトで、幸村と一緒だった。夏休みは明日で終わりだから、一緒に遊ぼうって誘った。
俺の宿題の心配してるから、休憩時間に感想文書いて
字の間違いとか見直してもらったら、自分の名前をすでに間違えてかいてた俺。
紺野じゃなくて、佐藤のほうで書いちゃってて、
それみながら幸村が黙ったから、泣くかと思ったけど、あいつは泣かなかった。

店の中に小さなテレビが数台置いてあって、いつもはMTVとか、日本のバンドのPVかけてるんだけど
今日は24時間テレビつけっぱで、仕事の手が空くと、ついながめてしまう。

俺が見てると幸村が、必ず俺の横に来て、2人で何も話さないで、画面をじっと見つめていた。

ああいうのみて、べらべら喋れないじゃん。第一さ、何言っていいのかわかんないし。
感動って言うのも、ちょっと違うじゃん。まあ、アンガのゴールは、かなり嬉しかったけど。

となりに幸村がいるから、喋んなきゃなあとおもいつつ、無理の要らない友達だから、結局俺は黙っていた。
幸村は、画面の向こうの世界に入り込んじゃいそうなくらい、真剣にテレビを見ていた。

俺・・・

幸村に今まで、すごいなんか、えらそうなことを言ってきて
それは、その場その場の俺が一生懸命考えて搾り出した言葉なんだけど
こういう番組みてたりさ、テロとかの事件のニュースみてるとさ、ほんとになんかあれなんだよね。

何を言っても、全部戯言で
俺が吐き出した言葉の全部が、まるで説得力をもたないなあって。

俺は親がいなくて、肩身が狭い時期もあったけど・・
親父が死んで・・母親も死んで、確かにそれはつらかったけど
そういうのを見た周囲の人が『がんばったね』って俺に言うじゃん。
でも、俺はちっとも頑張っちゃいなかったんだよね。

ただ、生活に流されてただけで。


だけど、・・・それでもやっぱり俺は、目の前で泣く幸村にこれからも
きっと言葉をかけると思うし、それをきいて幸村が笑ってくれたら、ああよかったって思うんだろうな。

言葉なんてものに形はないし、俺は字がまじで下手だから、めったに手紙なんか書かないし
メールも超絶的に遅いから、ほとんど用件は電話で済ませちゃうし
俺の言葉が、形になって残ることなんてないと思うんだ。

でも幸村は、時々俺の言葉を思い出して、それを俺に言う。

『あの時比呂が、ああいったから、俺は頑張ろうと思えたんだ』とか。

俺のさもない言葉を幸村が、あんなに大事に覚えてくれてて、それ支えにして踏ん張ってるなら、
俺はこれからも色んな事を、ちゃんと考えて言葉にかえて、あいつに伝えてようって思ったよ。

たかだか16年生きてただけの、俺に説得力なんかあるはずないけど
それでもさ、目の届く場所で生きてる人には、幸せであって欲しい。

何言ったってきれいごとなのかもしれないけど・・
どんなにつらい状況でも、その信念を貫くことが出来たら、それは真実になる。
きれいごとっていう言葉使って、目をそらしてたら駄目なんだ。

アンガがゴールして、ちょう嬉しく思ったのはきっと、あの人らが2人で走ってたからで
2人で走ってるあの人ら見たらまた陸上やりたいなあっておもった。

大勢の人間の中にいることの安心感を知っちゃったら、ひとりにはもう戻れない。
こーいうとこ、俺・・すげえ中途半端なんだよな・・。

だからそういう考え方が駄目なんだって!
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